豚の飼育から加工、流通に至る、いわゆる“6次産業化”をいち早く成し遂げた。肉豚の品種改良に成功した父の後を継ぎ、品質管理で高い評価を得る。

笹﨑静雄氏はかつて世話をしていた1匹の種豚のことが忘れられない。養豚を手掛ける家業の埼玉種畜牧場に入社して間もないころに出合った。「普段は気性が荒いのだけど、なぜか自分にだけは懐いてね」と振り返る。
そのころ笹﨑氏は牧場内の寮に住んでいた。ある朝、豚舎と自分の部屋の前を往復する1匹の豚の足跡を見つけた。豚舎をのぞくと懐いていた豚が死んでいた。腹部には無理に豚舎の柵を乗り越えたときの傷跡があり、足には泥が付着していた。
昨夜、雨が降る中、死期を悟って寮まで別れの挨拶に来たんだ──。
笹﨑氏はこの不思議な豚と数十年後に再会することになる。
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