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スマートフォンで全身写真を撮影するだけで体のサイズを割り出すAI技術を開発。試着なしで服を選べるソリューションとしてユニクロなどのアプリに採用が進んでいる。

全身写真を2枚撮るだけで採寸ができる
身長や体重を入力し正面・側面の写真を撮影するだけで、肩幅や首回りなどの数値を割り出す

 新型コロナでソーシャルディスタンスへの意識が定着するなか、対応に苦慮している業界の一つにアパレルがある。服のサイズが体形と合っているかを試着以外で確かめるすべが乏しく、店舗販売比率が高いからだ。経済産業省の調査によると、2018年のネット通販での販売比率は約13%にとどまる。

 ネット通販比率を30%に引き上げる目標を掲げるファーストリテイリングは19年9月、iPhone向けの「ユニクロアプリ」に画期的な機能を搭載した。スマホで全身写真を撮影するだけで採寸できる「MySize CAMERA(マイサイズカメラ)」だ。この機能を開発し提供しているのがBodygram Japan(ボディグラム ジャパン、東京・港)。ここ1年で花王や寝具メーカーのエアウィーヴ(東京・中央)など、採用実績を続々と積み上げている。

オーダーシャツ事業から着想

 ボディグラムのジン・コーCEOは「人の手を介することなく体のサイズを測る技術はいくつかあるが、スマホだけで高い採寸精度を出せる点が強み」と話す。凹凸がある体のサイズを機械で計測する装置としては3Dボディースキャナーがあるが、約1000万円と高価だ。アパレルのネット通販大手ZOZOが17年に開発して話題となった「ZOZOSUIT」は、計測用の服に着替える必要があった。

 これに対してボディグラムは、普段着のまま体の正面と側面の写真を1枚ずつ撮影するだけで肩幅や首回りなど最大18カ所の寸法を割り出し「99%の採寸精度が出せる」(コー氏)。

マレーシア出身のジン・コーCEOは米国で複数のITベンチャーを起業した後、日本にやってきた(写真=古立 康三)

 マレーシア生まれのコー氏は、米カリフォルニア大学バークレー校で学んだ後、米国でいくつかのIT企業を起業してきた。その1つに、15年に設立したOriginal社がある。オンラインで好みの生地やデザインを選択し、カスタムシャツを作るサービスを展開。店舗も在庫も持たないことで、高価だったオーダーシャツを1万円以下の低価格で提供することに成功した。

 サービスを展開するなかで避けて通れなかったのが、採寸をどうするかだった。コー氏は「スマホのカメラは年を追うごとに高機能化しており、これを活用するのが最も手軽」と考え、18年にボディグラムを開発した。