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音を聞き分けて機械の異常を判断するなど、製造業向けAI(人工知能)の導入を支援。ベテラン社員の技をAIで再現し、技術継承や品質向上に貢献する。

顧客と二人三脚
顧客の現場に入り込み、センサーの選定や設置場所などデータの収集方法から、AI解析技術までをゼロから開発する(写真=林田 大輔)

 かすかな音を聞き分けて設備の異常を発見する熟練検査員。熱処理温度の微妙な調整によって部品を均質化する仕上げ加工職人──。製造業の現場に足を踏み入れると、今でも「匠の技」が光る場面を数多く見ることができる。

 ベテラン社員のみぞ知る現場の生産技術をAIの力で分析し、勘やコツの正体を科学的に明らかにするのが、スカイディスク(福岡市)のミッションだ。

 例えば、ある自動車メーカーは「異音検査」に同社のAIを導入した。異音検査とは、機械などが作動時に発する音を聞き分けて、部品の不具合を判断する官能検査。人の五感に頼るため検査員によって判断にバラつきが出るのが課題だ。正確な聞き分けができるベテラン検査員が少なく、特殊なスキルのために技術継承が難しいという将来的なリスクもあった。

データの収集方法から開発

 同社のAI開発は、まず検査場に収音設備を持ち込み、検査員と同じ条件で「音」のデータを収集するところから始める。「この音がする時は、この部品に異常がある」「部品のかみ合わせに不具合があると、この音が出る」など、検査員の判断と音データをひも付けてAIに学習させ、異音の微妙な違いを音の波形の中から捉えることに成功した。

 この自動車メーカーは2020年内に生産ラインの検査工程にAIを組み込む予定で、AIでベテラン検査員の判断が再現できるようになるという。

 簡単そうに聞こえるが、これまで製造現場でAIの導入がなかなか広がらなかったのには理由がある。