食品の包装機械を輸入し、顧客ニーズに合わせてきめ細かくカスタマイズして販売。生鮮食品の保存期間を延ばす包装などでスーパーやコンビニに販路を広げている。

様々な包装に対応
<span class="fontSizeL">様々な包装に対応</span>
保存期間を延ばせるスキン包装など、多様な包装に対応できるのが強み。工場ではエンジニアがカスタマイズ作業に当たる(右下)(写真=2点:北山 宏一)

 一見すると、トレーに載った骨付き肉。だが、よく見ると肉の表面は薄い透明なフィルムで密着するように覆われている。特殊なフィルムで内容物を覆う「スキン包装」という技術だ。包装内部の空気を抜く真空包装の一種で、中身の食品が酸化しにくくなる。

 スキン包装は、トレーにラップをかけた一般的な包装に比べて、食品を2~3倍の期間長持ちさせることができる。東京食品機械は、ドイツなどからこうした包装用の機械を輸入して、顧客のニーズに合わせてカスタマイズし、販売している。スキン包装は欧州では普及しているが、日本ではまだ一般的ではない。秦哲志社長は、「食品業界の課題である食品ロスの削減につなげたい」と意気込む。

 同社は真空包装に加えて、包装内の空気を窒素や酸素、炭酸ガスなどの混合ガスに置き換える「ガス置換包装」機械の販売にも注力している。「野菜なら酸素濃度を5~10%にする」「サケの切り身なら窒素のみか炭酸ガスを加える」など、食材ごとに鮮度を保つ包装のノウハウと一緒に提供している。

顧客に合わせて機械の9割をカスタマイズ

スーパーにも販路を広げて成長
●東京食品機械の売上高の推移
スーパーにも販路を広げて成長<br><span class="fontSizeXS">●東京食品機械の売上高の推移</span>

 1973年に輸入機械の販売を始めた同社は、2004年にドイツの大手包装機械メーカー、ムルチバック社と資本提携して、グループ入りした。従来は食肉や水産など食品メーカーへの納入が多かったが、近年はスーパーやコンビニエンスストアに取引先が広がっている。その背景には「食品ロス」と「人手不足」がある。

 農林水産省によると、本来食べられるのに捨てられている国内の食品ロスは2016年度推計で年間643万トン。人口1人当たり約51kgに上り、社会問題になっている。また小売業は廃棄コストの増加につながる食品ロスを営業面からも減らしたい。さらに人手不足によって、小売業の現場で包装の機械化のニーズが高まっていることも、包装機械の需要拡大を後押ししている。

 東京食品機械の強みは、包装技術に加えて「単なる輸入・販売代理店」ではないところにある。「販売する機械の9割は、顧客のニーズに合わせてカスタマイズしている」(秦氏)

 例えば、フィルムを切断するカッター。「日本の顧客は切れ味やフィルムの切断面など、細かい点までこだわる」(秦氏)ため、東京食品機械が独自にカッターの刃を製造し、標準刃と交換することもある。フィルムも内容物や保存用途に合わせて、開封が容易なものや、加熱しても変形しないものなど、「いかなるフィルムも提供できるようにしている」(秦氏)。

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