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顧客の相談を受けた建築家からの依頼で、敷地やリノベーション用の中古物件を探す。建築と不動産の間の壁を取り払い、一気通貫の家づくりを実現した。

 南北に並んだ2つの分譲区画がある。北側は日当たりが良く地価が高い、南側は安いが2階建ての隣家が迫り日陰でジメジメしている。どちらかを選ぶ場合、建て主はもちろん、不動産仲介業者でさえ明るい北側の区画に目を奪われ、日当たりの良い家が建つと錯覚しやすい。

 しかし実際には、高さ制限や容積率など、建築基準法の制約によって建てられる家は変わる。このケースで、両方の区画に高さ制限ぎりぎりの3階建てが近接して建てられるとすれば、北側の家は南側の家の影にほとんど隠れて日当たりは悪くなってしまう。

 「建物のプロである建築家が土地選びから関われば、土地と建築条件から建てられる家の完成形をすぐにイメージでき、こうした土地が抱える一種の『ひっかけ』を避けることはたやすい。建て主が理想とする家に適した土地選びも容易になって住宅の質は大きく高まる」。こう考えた高橋寿太郎代表が2011年に設立したのが創造系不動産だ。

 不動産の仲介やコンサルティングを手掛ける同社は、建て主と建築家を結ぶ不動産仲介会社として、最初から3者がそろって理想の家づくりを進める、新しいビジネスモデルで成長を続けている。

顧客は100%建築家からの紹介

 従来の日本の家づくりでは、建築と不動産のフローは分断していた。例えばライフプランを考え、住宅ローン借り入れの計画を立てる。土地を探して売買契約を交わし、ローンの審査に出すところまでは不動産仲介業者が担当する。建築家が登場するのはその後からで、既に決まった土地の制約の中で、建て主の要望に応えるしかない。共に国家資格の宅地建物取引士と建築士が完全に分業しているため、建築設計事務所を訪ねても、「まずは土地を探してきてください」と門前払いに遭うことも少なくなかった。