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企業の管理業務を請け負う会社だが、スタッフ700人全員が在宅で勤務するユニークな形態をとる。オンラインで飲み会や部活も展開。スタッフ募集には、全国から多数の応募者が集まる。

飲み会も在宅で
就業後には、スタッフがそれぞれの自宅でパソコンを前に好きな飲み物とおつまみを用意して、オンライン飲み会を開くこともある

 「宮崎のおすすめの観光地って、どこですか」「高千穂峡かなあ。夏だったら、青島ビーチパークもいいですよ」

 とある平日の午後7時ごろ。仕事を終えた同僚ら約10人が、飲み会に出席した。飲み会と言っても、どこかの居酒屋に集まって開く形のものではない。全国各地に住むスタッフが自宅でパソコンを前に好きな飲み物やおつまみを用意して参加する。画面上に映るのは、飲み会に参加する全員の画像だ。遅れての参加や途中退席も自由。話が盛り上がり、午前様になることもあるが、終電を気にする必要はない。

 パソコン上で開かれる、この「オンライン飲み会」に参加するのは、企業から人事や秘書、経理業務などを請け負う会社キャスターのスタッフだ。キャスターは、登記上の本社を宮崎県に置くが、スタッフが毎日通勤するような、いわば事実上のオフィスはなく、100人ほどいる正社員を含め、約700人のスタッフは完全な在宅勤務の形で働く。そもそも採用面接の段階から、リアルの対面はない。入社後も一度も会社に“出勤”せずSNSなどを駆使して、自宅に居ながら、仕事も飲み会もすべてオンラインでこなす。

能力に合う仕事を提供したい

 在宅勤務というと、個人単位の仕事をイメージしがちだが、チームで業務を進めるのも、キャスターならではだ。チーム全員が、始業時間の午前9時に、パソコンの前に座り、チャット機能などを使い、一緒に業務を処理していく。同社には、主に「ディレクター」と「キャスト」の2つの役割のスタッフがいて、ディレクターは顧客企業から仕事の依頼を受ける。キャストは、経理や秘書、通訳、翻訳などそれぞれが専門分野を持ち、依頼された仕事に応じてチームが編成される。

 一度も通勤しない完全在宅勤務の場合、同僚や上司、部下とのコミュニケーションが不足し、人間関係の構築が難しくなる恐れもある。そこで、縦横のつながりを強化しようと、冒頭の「オンライン飲み会部」などの部活動を展開。ほかにチャットで子育ての悩みを共有する「パパママおしゃべり部」や夕食メニューのアイデアを出し合う「夕ご飯を考える部」など数十の部活がある。