利用者の生活能力を維持し、向上することに徹底的に向き合う介護施設がある。レクリエーションは一切なし。介護業界で抱いた違和感をなくそうと奮闘する。

利用者の知見生かす
<span class="textColGray fontSizeM">利用者の知見生かす</span>
通所介護施設「扉」では認知症の利用者の一言がきっかけで門松づくりを開始。周辺の企業が買い取ってくれ、利用者にも利益を配分(写真=村田 和聡)

 2019年12月中旬。横浜市泉区の通所介護施設「生活維持向上倶楽部『扉』」では、正月に向け門松づくりが佳境を迎えていた。自分たちで育てた稲を干したワラを編む。「本当は週3なんだけど、楽しいから毎日来ちゃうんだよね」。居合わせた利用者がほほ笑む。

 扉は、認知症や身体的な麻痺などで介護を必要とする近隣の高齢者が、昼の時間帯を過ごす通所施設だ。11人の定員は常に満杯で、通所を希望する人が後を絶たない。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2012文字 / 全文2301文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「フロントランナー 創造の現場」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。