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高度なフッ素樹脂加工技術を持ち、大型スタジアムの屋根膜材を製造する。「社会の役に立っている」という意識を社員に植え付け営業力を強化し、世界を舞台に事業拡大狙う。

東京ドームにも採用
フッ素樹脂の屋根膜材は耐久性、不燃性に優れ、東京ドーム、北京五輪メイン会場にも使用(写真左下)。膜の厚みは1mm以下だ(写真=大:アフロ、左下:AFP/アフロ)

 東京ドーム、カシマサッカースタジアム、北京五輪メイン会場──。これらのスタジアムの屋根膜材はガラス繊維にフッ素樹脂をコーティングしたものだ。中興化成工業は、国内で唯一この屋根膜材を製造している。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)が行われたエコパスタジアム(静岡県)など計3競技場にも採用されており、日本チームの活躍を陰で支えた。

 ルーツは、福岡県での石炭事業だ。戦後の経済成長を背景に創業者の木曽重義氏が事業を拡大したが、1950~60年に石炭から石油へエネルギーの主役が移行する中、当時日本ではあまり知られていなかった「フッ素樹脂」に着目。米国でフッ素樹脂を製造していた米ダッジファイバーズと技術提携し、フッ素樹脂加工を事業の柱に据えた。