日本シリーズ3連覇の福岡ソフトバンクホークスに分析システムを提供し存在感を増すライブリッツ。豊富なデータをスポーツチームだけでなくファン向けにも提供し、メディアとしての成長も目指す。

データを様々に分析
データを様々に分析
投手の配球や打球の角度、速度といった情報だけでなく、守備時の選手の動きといったデータも可視化しチームに提供する(写真=陶山 勉)

 工藤公康監督の体が宙に舞う。1回、2回、3回──。福岡ソフトバンクホークスが10月23日、2019年のプロ野球日本シリーズを制した。ホークスは3年連続の日本一だ。勝利を支えたのがライブリッツだ。チームのデータ分析などを行うシステムを担当した。

 このシステムはチームにとってはまさに屋台骨。各選手の日々のスイングなどのフォームチェック、対戦相手の情報を収集するスコアラー業務、球団が選手を評価するためのデータ収集などに欠かせない。選手は自らの打撃や投球で気になる点があれば、iPadなどを使ってこれらのデータを確認し、対戦相手の配球や今の自分のフォームをチェックして、実戦に反映できる。

野手の動きまで可視化

 米メジャーリーグでは打球の弾道や回転などを解析する「スタットキャスト」というシステムが15年までに全30球団の球場に入った。投手が投げる球がどれだけ回転していれば打者が打ちにくいのか、打球の角度はどうならば最も安打になりやすいのか。様々な方面からデータで検証している。

 このシステムから生まれたのが「フライボール革命」だ。打球をゴロにせず、角度をつけて打つという考え方だった。結果、メジャーリーグでは本塁打が増えるようになった。

 ライブリッツはスタットキャストによって取得できるデータのほか、打球に反応した各野手の動きなどをデータ化し、分析に使えるようにした。

 村澤清彰社長は大学時代、精密工学を専攻、経営とIT、統計分析をどう結び付けるかを学んだ。ITエンジニアとして就職したのが、現在はライブリッツの親会社となったフューチャーだ。

<span class="fontBold">村澤清彰社長は学生時代の野球でデータの重要性を学んできた</span>(写真=陶山 勉)
村澤清彰社長は学生時代の野球でデータの重要性を学んできた(写真=陶山 勉)

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