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食品業界を中心に軟らかいものもつかめるロボットやFA機器を提供、技術力で注目を集める。自社製品の販売にとらわれず、他社製品まで含めて提案する幅広いソリューション力が強みだ。

5本指ロボット
空気圧でつかむ力を調整して人の手のように動く。スキューズのロボットは柔軟物でも潰さずにつかめる点がポイントだ

 中国の大手火鍋チェーン「海底撈」(ハイディーラオ)。客が鍋のメニューを注文すると、人がいない「厨房」で、白いロボットアームがICタグを読み取り、具材が入ったトレイを選び、バットにのせていく。その光景はまるで、近未来の工場だ。

 「海底撈」と合弁会社を設立したパナソニックから依頼を受け、店舗や工場向けにソリューション提案や、機材導入を手掛けたのが、食品分野で強みをもつスキューズ(京都市)。近年、技術力の高いベンチャー企業と提携するパナソニックの代表的な協業例と言える。

 スキューズはコンビニ向けの弁当を詰めるロボットで一躍有名になった。食材には、力を入れすぎると形がくずれてしまうものも多く、人の手に近い動きができる高い技術力が必要だ。そこで空気圧で把持力をコントロールする5本指のロボットハンドを開発するなど、弁当用の食材にとどまらず、桃のように傷つきやすい果物の箱詰め作業の自動化までも可能にした。桃の箱詰めロボットなどを共同で開発した山梨大学の小谷信司教授は「硬いものをつかむのは簡単だが、柔軟物をつかませるのは難しい。スキューズの個性派集団が懸命に取り組んでくれた」と話す。技術力への高い評価は、産業革新機構やメガバンク系のベンチャーキャピタルからの出資にもつながっている。

経営危機を乗り越え

 立ち仕事が多く体力が必要な作業が多い食品工場では、時給を引き上げても人材が集まりにくい。ロボットなど自動システムを導入すれば人手不足の問題を緩和できるほか、24時間の稼働も可能になる。このため、ロボットは有望だが、スキューズは数年前まで、存亡の危機にあった。

 同社は、1997年、製造現場でのFA(ファクトリーオートメーション)やロボット事業に携わってきた現会長の清水三希夫氏が創業。清水氏のアイデア力を生かし、食品業界を中心とした工場の生産ライン向けにシステムを提供してきた。だが、結果的に納品できなかった製品が社内に積み上がるなど財務を圧迫、2016年3月期から2年連続で最終赤字となった。

 清水氏に代わって、16年に社長に就任したのが、その前年に清水氏からの誘いを受けて入社した川田成範氏だ。

各社で危機対応をしてきた経験を生かして緻密に戦略を練る川田成範社長

 川田社長は異色の経歴の持ち主。イラク戦争勃発時に在サウジアラビア日本大使館の二等書記官を務め、ほっかほっか亭総本部時代は「ほっともっと」との訴訟の対応に当たった。08年に三洋電機に移ったが、同社が経営危機に陥ると、経営企画本部で構造改革を担当。三洋を買収したパナソニックを経て、ハイアールアジアに移った後も改革を担当し、事業が軌道に乗り始めたのを見届けてスキューズに転じた。まさに危機対応のプロと呼べる経歴を持つ。

日経ビジネス2019年8月19日号 58~59ページより目次