全2401文字

RFIDを使ったマラソンやトライアスロンなどのタイム計測システムが国内外で普及。技術を応用した児童の登下校見守りシステムにも導入が進む。

正確なタイム計測
わずか9.5gのタグは靴ひもやゼッケン、自転車のフレームなどにも装着可能。完全防水をはじめ耐久性も確保し、測定漏れを防ぐ

 一度に数百~数万人が競うマラソンやトライアスロン。大規模になるほど難しいのが、参加者一人ひとりの正確なタイムの計測だ。世界陸上など多くの国際大会で採用されているのがマイクロ・トーク・システムズが手掛ける「J-chip(Jチップ)システム」。RFID(無線自動識別)タグを選手が身に着け、タイムを記録する。

 「これがJチップのタグです」。同社の橋本純一郎社長が示したタグは縦2.8cm、横4.4cm、厚さ7.7mmで、重さはわずか9.5g。選手は手首やゼッケン、靴ひも、たすきなどにタグを付けて出場。ゴールや中間地点などに設置された受信機がタグからの情報を受け取ってタイムを測定する。国内では名古屋ウィメンズマラソンやNAHAマラソンをはじめ年間300を超える大会で使用されている。国内で開かれるトライアスロンやトレイルランの大会ではほぼすべてで使用されているという。

 橋本社長は鉄鋼メーカーからリース会社の営業マンに転職した後、起業した。1990年代初め、米国企業が手掛けたRFIDに出合ったが、当時、RFIDはまだ世間では認知されていなかった。ものづくりに興味を抱いていたこともあり、「これを使えば何か新しい事業ができるのでは」と思案した。周囲にRFIDの機能を紹介すると「使いたい」というニーズが高かったことから独立してRFIDの事業を立ち上げることを決意。知人のつてで商社の出資を受け、同僚の技術者らと94年にマイクロ・トーク・システムズを立ち上げた。