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メード・イン東北で、ユーザーの声を徹底的に反映した音楽再生機器を製造する。「ファンづくり」を怠らず、クラウドファンディングを活用して顧客拡大と信頼獲得を図る。

地元の工場で製造
海外での製造から、実績のある地元の工場での製造に転換。トラブルが起きても、工場の現場と二人三脚で解決する体制を整えた。(写真=村上 昭浩)

 若者に人気のクラブ。DJがその場の雰囲気に合わせてテンポや効果を変え、独自のセンスでアレンジした音楽をかける。こうした音楽の再生に必要なのがDJ機器だ。中でも小型でバッテリー駆動の「GODJ Plus」が人気を集めている。自宅や屋外でも使用でき、操作が簡単なのが理由だ。アニメやゲームなど様々なジャンルの音楽ファンが愛用し、販売台数を伸ばしている。開発したJDSoundの宮崎晃一郎社長は、誰でも気軽に使えることから、「最近は“ラジカセ”と呼んでいる」と話す。

震災をきっかけに起業

 JDSoundは、半導体エンジニアだった宮崎社長が2012年に立ち上げたベンチャー企業。東日本大震災によって、当時働いていた半導体開発会社の仙台事業所が閉鎖になったことが起業のきっかけだ。当時、本社の東京に戻る選択肢もあったが、宮城県出身の宮崎社長は、地元採用の2人の同僚と仙台に残ることを決意した。

 起業後、自分たちに何がつくれるか模索する中で、まだ普及が始まったばかりのiPhone用アプリに、DJとして遊べるアプリが多くあることに気付いた。DJが使用する機材は重くて持ち運びが大変なので、手軽なスマートフォンで代用したい人が多くいるためだった。宮崎社長は、前職でCDプレーヤーなどの製品開発に携わっていたこともあり、小型DJ機器の開発に狙いを定めた。

 それまでクラブに足を運んだこともなかったが、カジュアルなストリートファッションの服を新調し、地元のクラブイベントに飛び込んだ。クラブではプロのDJをつかまえ、「何をしているのか」「どんな操作をしているのか」など、一から聞いて回り、知り合いになったDJに相談しながら初代機の開発を進めた。