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原料調達から製造ライン監視、さらに原価計算など工場の生産管理システムを提供する。月額10万円からの「定額課金」制度を取り入れ、中小企業の効率化を支援する。

(写真=シナプスイノベーション提供)

 少量多品種の時代、工場では生産管理の効率化が必須。だがデジタル人材がいない、中小や地方の工場では対応が難しい。私自身、経営で苦労したからこそ、小規模な工場のニーズに応えたかった」。そう話すのはシナプスイノベーション(大阪市北区)の藤本繁夫社長だ。

 埼玉県のある食品工場。現場の担当者は「ここ数年、生産ラインの切り替えが頻繁になり、業務が複雑化した」と言う。例えば、顧客である食品メーカーから、新製品として販売するサンドイッチの味を一つ増やしたいと発注を受けたとする。原料の調達、製造ラインのロボットの位置、作業者のシフト見直しなど、1種類の商品が増えるだけでも短時間でさまざまな業務を見直さなくてはならない。

 シナプスは、こうしたものづくりの工程をスムーズに管理するシステム「JWALD(ジェイバルト)」を手がける。ジェイバルトはタブレットやパソコン上で工場全体を「見える化」する。

 設備に付けたセンサーの監視状況、アーム型ロボットの稼働、原価や在庫、さらに売上高などの財務情報まで、ソフトウエア上で一括管理が可能になる。例えば、Aの工程で小麦粉が不足すると、そのことを知らせる警告が出る。作業員はA工程にかけつけ、工程の設計に問題があるのか、など、原因を即座に明らかにできる。

 シナプスの本業は、システム構築の請負だが、2017年から新規に始めた生産管理のソフトウエアサービスが大きく育ちつつある。

 従来、工場の生産管理システムを構築するには専用のシステムが必要で、数千万円単位の初期費用がかかるというのが常識だった。コストを敬遠し、熟練した工員の勘や、管理部門の社員の手腕に頼る工場も多かったが「人手不足が深刻化する中、デジタル化の遅れは、取引の中止など工場の存続にかかわる問題になる」(藤本社長)と考え、中堅・中小企業の町工場でも手の届く安価で使いやすいシステムを目指してきた。

日経ビジネス2019年7月1日号 48~49ページより目次