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特許や論文といった知的財産が、どの領域に集中しているかをマッピングするサービスで成長。社内にある膨大なデータを分析するためのツールを求める企業にニーズが広がる。

米シリコンバレーにもオフィスを持ち、国内の拠点とやりとりすることも(写真=陶山 勉)
 

 自社が持つ5万件の特許を俯瞰(ふかん)して見ることができる」とVALUENEX(バリューネックス)の文書データ解析サービスについて話すのは、旭化成の中村栄知的財産部長だ。この解析サービスを同社が導入したのは2年ほど前。知財情報の分析を新事業の開発やM&A(合併・買収)に生かす「IPランドスケープ」という戦略を事業基盤強化の柱に位置付けていることが背景にあった。

 例えば、自社で手掛ける人工透析関連の知財を分析したところ、事業に参入する基礎となっていた膜モジュールの領域に特許が集中していることが分かった。

 また、人工透析機器で競合する欧米メーカーの知財を分析すると、人工透析のシステムやサービスの領域の特許が多いことも分かった。「業界の知財のトレンドは膜からシステムやサービスに移っている」。そう気づいた中村部長は、次に競合メーカー以外の知財を分析。提携などによって、自社の弱い領域の補完を検討することができるようになった。

知財の集中領域が一目瞭然

 バリューネックスのサービスの特徴は、知財に関する膨大な文書の文字情報を独自のアルゴリズムを用いて解析。文字情報が似ている文書を近くに配置するように分類し、文書全体の分布を俯瞰で見られるようにするもの。知財が集中している領域とそうでない領域が一目で分かる。

 このアルゴリズムについて、開発した中村達生社長は「書類を机の上で整理するようなもの」と話す。

 例えば、仕事関連の重要な書類が2枚、会社の懇親会の案内が1枚、大学の同窓会の案内が1枚あったとすると、「仕事関連の重要な書類を机の真ん中に積み重ね、その脇に会社の懇親会の案内を置き、さらに離れた場所に同窓会の案内の紙を置くイメージ」だという。

日経ビジネス2019年6月24日号 72ページより目次