全2369文字

クラウドを駆使し、監視カメラの映像を常時録画、手軽に利用できるサービス基盤を構築。カメラ専業と協力、大手企業とも提携し、映像監視のプラットフォーマーを目指す。

映像をクラウドが監視
対応するカメラをネットワークに接続すると、セーフィーのクラウドサービスに映像を常時録画できる。映像内に動きがあったことを検知して通知する機能を備える

 ある店舗のレジスペースの上部に設置した監視カメラ。店内には録画機器が置かれていないのに、店舗のオーナーはスマートフォンやパソコンで現在や過去の映像を確認できる。カメラが捉えた映像を常時録画しているのは、インターネット経由で接続したクラウドサービスだ。録画した映像を再生できるだけでなく、人の動きがあった時刻やレジの操作があった時刻も把握できる。店舗の防犯や現金トラブル抑止につながる。

 このサービスを手掛けるのが2014年創業のセーフィー(東京都品川区)だ。録画の保存期間に応じた毎月の定額制サービスとして提供する。カメラは1万9800円で購入でき、サービス利用料は30日分保存の場合で月2000円だ。飲食店や小売店のほか建設現場の防犯、製造や物流の現場の可視化などの用途で広がり、対応カメラの累計出荷台数は19年5月に4万台を超えた。「カメラメーカーになるつもりはない。映像から価値を生むプラットフォームの提供者を目指してきた」とセーフィーの佐渡島隆平社長は話す。17年9月にはオリックス、関西電力など大手5社から9億7000万円の出資を受け業務提携。飛躍への足掛かりも確保した。

「それなら自分でやります」

 セーフィーの源流はソニーで画像処理の研究開発を手掛けてきた木原研究所にある。07年にソネットエンタテインメント(当時)が顔写真から3D(3次元)映像を生成する木原研生まれの技術を商用化する企業、モーションポートレートを設立した。そこに10年から加わったのが、02年にソネットに入社した佐渡島氏だった。

 マーケティング担当としてモーションポートレートの技術を応用したスマホアプリの事業展開に奔走する中で、13年ごろから新規事業の開発にも乗り出した。そのとき新規事業のアイデアを出し合っていたのが、後にセーフィーを共同で立ち上げる森本数馬氏と下崎守朗氏だった。ソニー出身の森本氏と木原研出身の下崎氏はそれぞれ別の会社を経て入社し、技術者として活躍していた。

 「防犯カメラをクラウド化するというコンセプトはどうか」。佐渡島氏のアイデアに森本氏と下崎氏も乗り、「置くだけでつながる簡単なカメラがどんどん賢くなっていくプラットフォームを提供する」という方向性が見えてきた。

 14年夏に転機が訪れた。もともと佐渡島氏は、モーションポートレートやソネットの事業として展開するつもりだった。新事業立ち上げの経験が豊富なメンバーが多いうえ、規模が大きくなったときに人を増やしやすい。ソネットの親会社であるソニーの監視カメラ事業と協力できるとの期待もあった。

日経ビジネス2019年6月17日号 62~63ページより目次