呼気に含まれるアルコールの測定器を自社で開発、運輸会社を中心に販売する。正確な検知と記録管理で飲酒運転防止に貢献、医療分野への参入も目指す。

エンジンの起動を阻止
<span class="fontSizeL">エンジンの起動を阻止</span>
東海電子が手掛ける「インターロック」。ドライバーの呼気からアルコールを検出すると、エンジンが起動しない仕組みで、飲酒運転を強制的に防ぐことができる。

 専用のマウスピースで息を吹き込むと、その機械は不気味な警告音を発し始めた。接続したパソコンのディスプレーには、呼気1リットルに含まれるアルコールの濃度が赤く表示される。計測データはネットワークを通じて即時に社内で共有されるため、ごまかしは不可能。計測中の様子も内蔵のカメラで録画し、替え玉検査はできない。

 このアルコール測定器の製造、販売を手掛けるのは東海電子。2003年からバス、タクシー、トラック、鉄道など、運輸業界を中心に多くの企業に測定器を販売してきた。累計売り上げは9万台近くに上り、杉本一成社長は「運輸業界内のシェアでは圧倒的にナンバーワン」と胸を張る。業界の飲酒運転防止に寄与しているとの自負もある。

 会社設立は1979年。もともとカシオ計算機の下請けとして、デジタルウオッチの部品製造に注力していた。だが、下請けは仕事量の増減が激しい。「仕事が突然なくなると資金がショートする。経営に四苦八苦したことは1度や2度じゃない。雇っている従業員にも申し訳ない気持ちでいっぱいだった」(杉本社長)。自社製品を打ち出し、下請けの状態から脱していく必要性があると強く感じてきた。

 だが、製品開発は簡単ではない。「時間と資金が膨大にかかる。行き詰まって、ボツにして。そんなことを繰り返してきた」と杉本社長は振り返る。転機となったのは2000年代初頭。失敗したら後はないと覚悟を決め、静岡県富士市の本社とは別に、東京に開発事業本部を立ち上げた。同時に技術者数名を採用。新たな体制で、現状打開に挑んだのだ。

悲劇を繰り返さない

 当初は何を作るかも決まっていなかったが、当時、話題になったあるニュースが杉本社長の脳裏から消えなかった。1999年、東名高速道路で飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、幼い姉妹2人の命を奪った痛ましい事故だ。「こんな悲惨な事故を繰り返してはならないと思っていた」(杉本社長)

 事故を契機に職業ドライバーの飲酒運転が社会問題化した。同時に事故に関して、ドライバー本人だけでなく管理する側の会社の責任も厳しく問われるようになった。

 会社ができる対策の一つは飲酒の有無のチェックだが、当時販売されていた測定器は記録を残せず、他者のなりすましなど、ごまかしも可能だった。「飲酒の有無を厳密に確認するシステムは絶対に必要とされる」。杉本社長が技術者らに提案すると、1年半ほどで記録保存も、計測時の撮影もできる試作品が完成した。

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