クルマの自動ブレーキの夜間性能などで海外のセンサーサプライヤーが存在感を高めている。システムの性能差は縮まっており、今後は交差点の右左折や出合い頭衝突への対応などが競争軸になる。システムの競争力を維持するには、センサーのコスト低減と性能向上の両立などが求められる。
国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が2022年に発表した日本の自動車アセスメントプログラム(JNCAP)の最新(21年度)の安全性能評価結果から、夜間歩行者を対象にした自動ブレーキに関するポイントが見えてきた。
第1のポイントは、海外のセンサーサプライヤーが存在感を示したことである。試験条件が最も厳しい夜間歩行者を対象にした自動ブレーキ試験(以下、夜間試験)で5社の8車種が最高点(満点)を獲得した。これらの車種はすべて夜間歩行者を検知する主要センサーとして、海外サプライヤーのカメラを搭載する。
第2のポイントは、最高点を獲得した5社のうち、SUBARU(スバル)とホンダがカメラのサプライヤーを変更したこと。第3のポイントは、日産自動車とトヨタ自動車などが複数のサプライヤーからカメラを調達し、車種ごとにカメラを使い分けてサプライヤーを競わせていることだ。
各社のシステムの性能差が縮まっていることが、第4のポイント。最高点を獲得できなかった3車種の得点率(満点を100とした場合の比率)は97%を超えている。
ステレオカメラを変更
最高点を獲得した8車種のうち、スバルの中型SUV(多目的スポーツ車)の「レガシィ アウトバック」(以下、アウトバック)は、同社の先進運転支援システム(ADAS)「新世代アイサイト」を搭載する。20年度の夜間試験で最高点を獲得した中型ステーションワゴン「レヴォーグ」と同じシステムである。スバル車は2年連続で最高点を獲得した。

夜間歩行者を検知する主要センサーには、スウェーデンのヴィオニア製のステレオカメラを使う(ヴィオニアはカナダのマグナ・インターナショナルによる買収が23年内に完了する見込み)。スバルは過去に日立アステモのステレオカメラを使っていたが、新世代アイサイトではステレオカメラのサプライヤーをヴィオニアに替えた。同社のカメラは広角化しながら夜間認識性能を高めたのが特徴だ。夜間認識性能を高めるために、ハードウエアとソフトウエアを改良したことが高得点に寄与した。
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