世界では移動通信技術ベースの「5Gブロードキャスト」が台頭。早ければ2023年にも実サービスを始める国・地域が出てきそうだ。“放送と通信の融合”を超えて、通信に放送がのみ込まれる勢いになっている。

 海外で地上テレビ放送の5Gへの移行準備が着々と進んでいる。テレビ放送のインターネット配信への移行との違いは、電波で映像信号を同時に送る放送という形態自体は残ること。ただし、放送の方式が5Gという移動通信技術ベースになる。簡単にいえば、5Gの下りの電波だけを使って、複数の端末に一斉に同報するやり方で、「5Gブロードキャスト」と呼ばれる。

 5Gブロードキャストを使うと、従来の放送にはできなかったことができるようになる。具体的には、(1)新幹線、またはそれに匹敵する超高速移動環境での受信機の利用が想定されている、(2)テレビ塔などから高出力で電波を出す他に、5Gの基地局を利用した電波でスタジアムやマンションなど特定エリアに限定した“放送”が可能になる、(3)(2)のような電波はテレビ塔からの電波に比べて比較的強いため、屋外アンテナがなく、スマートフォン内蔵または“テレビ内蔵”の低利得のアンテナでも受信できる可能性が高い、(4)従来の放送では難しい特定エリアの防災情報をデータ放送としてテレビだけではなくスマートフォンに直接届けたり、カーナビの地図情報の更新、全地球測位システム(GPS)または全球測位衛星システム(GNSS)の補正情報の提供、さらには特定の端末のファームウエアの更新データなどを配信したりできる点だ。

5Gベースの“放送”に4大メリット
5Gベースの“放送”に4大メリット
5Gなど移動通信技術ベースのブロードキャストには、従来の放送にはない特長が4つ。(1)250km/時といった高速移動を想定した仕様になっている
(2)多数ある基地局が“テレビ塔”となり、“放送”エリアを狭い地域に限ったり、時間を絞ったりできる
(2)多数ある基地局が“テレビ塔”となり、“放送”エリアを狭い地域に限ったり、時間を絞ったりできる
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(3)(2)のおかげでスマートフォンやテレビなどの利得の小さな内蔵アンテナで“放送”の直接受信が可能になり、屋外アンテナなどが不要になる
(3)(2)のおかげでスマートフォンやテレビなどの利得の小さな内蔵アンテナで“放送”の直接受信が可能になり、屋外アンテナなどが不要になる
(4)従来の放送では提供が難しい、狭い地域やクルマを含む特定“端末”に配送する共通のデータを放送で送ることが可能になり、通信資源の有効利用が可能になる、の4種類である
(4)従来の放送では提供が難しい、狭い地域やクルマを含む特定“端末”に配送する共通のデータを放送で送ることが可能になり、通信資源の有効利用が可能になる、の4種類である
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