オフィスビルの管理運営に、ロボットを導入する機運が高まっている。配送や清掃など、人手不足が深刻な業務の省人化を進める狙いだ。課題はエレベーターなど既存設備との連携。デベロッパーや建設各社による模索が続く。

大手町ビルにて渋谷氏と「SQ-2」(写真=都築 雅人)
大手町ビルにて渋谷氏と「SQ-2」(写真=都築 雅人)

 「こちらのエレベーターはロボット専用運転となります」

 三菱地所が所有する大手町ビル(東京・千代田)のエレベーターホール。高さ1.3mの楕円形のロボットから、男性の声が響く。ロボット開発スタートアップ、SEQSENSE(シークセンス、東京・千代田)の自律型走行警備ロボット「SQ-2」だ。

 大手町ビルでは2019年から2台のロボットが地上9フロアの警備を担っている。SQ-2がエレベーターに乗り込むのは、「このビルでは当たり前の光景だ」と三菱地所管理・技術統括部兼DX推進部の渋谷一太郎氏は話す。

エレベーターに乗り込む(写真=都築 雅人)
エレベーターに乗り込む(写真=都築 雅人)

 ビル内のエレベーター1台とロボットは、両者を管理するプラットフォームを通じて連携する。例えば1階の警備を終えて2階に向かう場合、指令を受けたエレベーターが1階に移動してロボットを乗せ、2階まで運ぶ。エレベーターだけでなく、ロボットの「要求」に応じて自動ドアやセキュリティーゲートも開閉する仕組みだ。

 いわばオフィスビル全体が、「ロボットフレンドリー」に整っているのだ。首都圏にある三菱地所のビルでは、合計15台のSQ-2が稼働している。これらは、国が主導するロボットのビル内縦横移動の先行検証事例にもなっている。

 三菱地所は18年4月、新丸の内ビルディングに警備ロボットと大型清掃ロボットを導入した。同社DX推進部のメンバーが国内外のロボットを比較検討し、シークセンスに5億円を出資。現在は有償でロボットのレンタルを受けている。他にも三菱地所の施設では約100台のロボットが警備や清掃、運搬などで活用している。

背景に深刻な人手不足

 オフィスビルにおけるロボット導入の背景には、ビル管理における人手不足がある。厚生労働省によると22年11月のビル警備員などの「保安の職業」の有効求人倍率は7.26倍。都市圏では今後も大規模オフィスの供給が続く見通しで、警備や管理の省人化が大きな課題となっている。

 東京・豊洲エリアで21年に完成した大規模賃貸オフィスビル「メブクス豊洲」では、オムロン ソーシアルソリューションズの清掃ロボットやNECネッツエスアイが提供する案内ロボットなど3機種を導入予定で、ほか5種類を実験中だ。

建物のデータをロボットに伝え、制御する
建物のデータをロボットに伝え、制御する
●清水建設のロボット活用プラットフォームの仕組み