不可欠だが地味な業務と見なされていたシステム監視が、最新技術で激変した。監視すべきITインフラストラクチャーが社内から消え、見えなくなったのに対応するためだ。新しい対象を監視するには、新しい手法が必要だ。
「オブザーバビリティー(可観測性)」「テレメトリー」「分散トレーシング」「インストルメント(計装)」「OpenTelemetry」──。こうした最新の「システム監視用語」を、いくつご存じだろうか。日本のあるSaaS(サース、クラウド上で提供するソフトウエア)会社の経営者も「これらの単語の半分も意味が分からない」と答えたほど、システム監視の常識が変わっている。
物理マシンの監視が不可能に
10年前であれば監視する対象はオンプレミス(自社所有)で運用する物理マシンだった。稼働情報はコンピューターにインストールしたエージェント(専用ソフト)を使ったり、ハードウエア監視のためのプロトコルを使ったりして収集していた。物理マシンに着目さえしていればシステムの全容を監視できた。
しかしその後、監視する対象はクラウド上の仮想マシンやコンテナへと変わった。ユーザーにとって物理マシンは「見えない存在」となった。
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフト、米グーグルが提供するパブリッククラウドにおいては、仮想マシンなどの稼働情報はクラウド事業者が提供する監視サービスのユーザーインターフェース(UI)やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース=システム同士が相互に連携するための技術仕様)を通じて入手する仕組みだ。ユーザーは仮想マシンが稼働する物理サーバーやネットワーク機器といった物理マシンの稼働情報は入手できなくなり、サーバーやアプリケーションのログの扱いには注意が必要になった。ログは常に外部のデータウエアハウス(DWH)などに保存しなければならなくなった。
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