例えば「軽量盛り土の出来高」。従来の管理手法では、5mおきに測量して断面形状を求め、算出した体積に軽量盛り土材の単価を乗じていた。道路の線形や斜面形状が複雑なために、数%の誤差が生じる手法だった。これに対し、森下建設は斜面や施工後のPCaパネルを3次元レーザースキャナーで計測してデータ化。斜面とパネルの間に打設した軽量盛り土の体積を計算することで、出来高を求めた。

森下建設の土木部門には20人の社員が所属する。40~60代を中心とした地方の中小建設会社の一般的な人員構成だ。2017年に同社の森下幸生社長がコンサル会社の助言を基に、土木部門の誰もがICT施工に携われるプロセス作りを進めた。工事の受注戦略も変更。自治体のICT活用工事の発注件数は限られるため、元請けとして関わるだけでは経験値をなかなか積めない。そこで下請けとして直轄工事に関わる案件を増やし、ICT施工の場数を踏んだ。「もしICT施工に取り組んでいなければ、経営環境は厳しくなっていたと思う」。森下社長はそう言い切る。施工プロセスの改善などによって、ICT施工に取り組む社員の延べ労働時間を約30%削減。出せる利益が頭打ちとなりがちな従来型の施工に比べて、ICT施工はコスト削減や利益確保に取り組める余地が多く、競争力を高められるという。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1332文字 / 全文2728文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「テックトレンド」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?