日本と欧州連合(EU)が取り組む核融合実験装置が、茨城県那珂市で2022年度内にも運転を始める。世界最大の実験装置の稼働になる見込みで核融合炉の世界では大きな前進となる。各国は今世紀半ばの原型炉建設を目指し、稼働後の実験装置には世界から研究者が集まる予定だ。

 茨城県那珂市に位置する国立研究開発法人、量子科学技術研究開発機構(QST)の那珂研究所。大きな建屋に足を踏み入れると、巨大な円筒形の装置が目に飛び込んでくる。高さ16m、横20m。装置の周辺には大きな管などたくさんの機器が付いており、至る所で作業が進む。

年度内に稼働する核融合験装置「JT-60SA」
年度内に稼働する核融合験装置「JT-60SA」

 日本とEUが参画し、2022年度内にも運転が開始される予定の核融合実験装置「JT-60SA」だ。周りに付いているのは、運転開始後に始める研究のための機器。池田佳隆・那珂研究所長は「この装置を使って研究をしようと日本とEUの400人以上の研究者が心待ちにしている」と説明する。

発電効率と安全性に優位性
●核融合炉の5つのメリット
発電効率と安全性に優位性

 無事に運転にこぎ着ければ、世界最大の核融合実験装置の稼働に成功したことになる。核融合実験炉では、フランス南部で稼働の準備が進む日米、EU、中ロなど世界7カ国・地域が参画する国際熱核融合実験炉(ITER)がある。だが、運転開始はJTー60SAより遅い25年の予定。今、世界の核融合炉の関係者が最も注目するのがJT-60SAなのだ。

 核融合炉の仕組みをおさらいしよう。炉のなかに燃料となる重水素と三重水素(トリチウム)を閉じ込めるとヘリウムと中性子に変わるが、その過程で核融合反応が生じ膨大なエネルギーを生み出す。太陽内部で起きているのと同じ現象だ。共通点は、原子の中心にある原子核がぶつかり合っている点。核融合炉が「地上の太陽」といわれるゆえんだ。

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