ゼネコンが先行した民間木造ビル市場に、住宅会社が続々と参戦している。背景にあるのは公共建築物等木材利用促進法の改正だ。5階建て程度に注力してゼネコンとすみ分ける動きも出ている。

 千葉県鎌ケ谷市で2022年2月、高さ44.7mの木造ビルを擁する「東洋木のまちプロジェクト」が着工。基礎免震を採用した高層棟は1階が鉄筋コンクリート(RC)造、2~15階がCLT(直交集成板)パネル工法による純木造。CLTを14層に用いるのは日本初だ。地元で戸建て住宅事業を営む東洋ハウジングが計画し、自ら施工にも挑む。

特徴的な円形プラン

(画像=東洋ハウジング提供)
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 同社の西峰秀一社長は、「戸建て住宅を年間30棟ほど建てる当社のような規模の工務店でも木造ビルを建築できることを証明する。これを皮切りに木造20階、30階建てにも挑戦し、ゼネコンとの勝負に勝ってみせる」と意気込む。

 特徴的な円形プランについて西峰社長は「対称性のある円形にしたのは、免震層に生じる引き抜き力を低減するため。1階をRC造として重くしたのも、同様の理由だ」と話す。

 苦労したのが、高層ビルの施工管理ができる技術者と調達ルートの確保だ。思うような人材と巡り合えず、建設会社出身の2人を採用するのに2年以上を要した。

 CLTの供給と木工事は実績が豊富なシェルター(山形市)に依頼。自社で手配が難しい調達は、ナカノフドー建設を1次下請けとすることで対処した。

 高層棟の建設費は約17億6000万円(税込み)。坪単価は約200万円だ。賃料だけで収支を成り立たせるのは難しいと判断し、低層の商業施設を併設する計画に見直した。事業性の確保は今後の課題だ。

5階建て「普及型純木造ビル」

5階建てのモデル ビルを先行施工
5階建てのモデル ビルを先行施工
アキュラホームの純木造5階建てモデルビルの外観パース。川崎市の展示場内に2022年夏ごろ完成予定。普及型純木造ビルの仕様を一部盛り込む。設計もアキュラホーム(画像=アキュラホーム提供)

 建築界が脱炭素へかじを切るなか、二酸化炭素(CO2)を建物に固定できる木造ビルへの注目度は高まるばかり。民間建築物の木造化を促す改正公共建築物等木材利用促進法が21年10月に施行され、22年は木造ビルへの支援策がさらに充実しそうだ。

 最初に木造ビル市場に商機を見いだしたのはゼネコンだったが、木材の扱いにたけた住宅会社も黙ってはいない。東洋ハウジングのように参戦する企業が増えてきた。

 新築戸建て住宅を年間1400棟ほど手掛けるアキュラホーム(東京・新宿)も木造ビルの受注に乗り出す。狙うのは5階建てが中心。最大でも8階建てまでだ。同社の宮沢俊哉社長は、「ゼネコンのような、特殊な認定工法を使った高コストの木造ビルではなく、顧客が求める坪単価150万円以下の普及型純木造ビル」と宣言する。

本社ビルでは木造8階建てに挑戦
本社ビルでは木造8階建てに挑戦
アキュラホームの8階建て新社屋の外観パース。2階建ての低層部を併設する。意匠設計は野沢正光建築工房とマウントフジアーキテクツスタジオが手掛ける(画像=アキュラホーム提供)