全国の小中学校で1人1端末の環境が整えられつつあり、それらを活用した授業が増えてきた。ただ、主体的に学ぶアクティブラーニングや生徒ごとに最適化した授業も求められ、教員の負担は増す一方だ。現場の負担をできるだけ減らし、なおかつ教育の質を上げる。そんなサービスが広がっている。

<span class="fontBold">水戸市立新荘小学校では184人の生徒全員が「すららドリル」を使って学ぶ</span>
水戸市立新荘小学校では184人の生徒全員が「すららドリル」を使って学ぶ

 「『すらら』で復習しておいてください」──。「すらら」とは、オンライン学習教材を販売するすららネットが提供する、AI(人工知能)を利用したデジタル教材。水戸市立新荘小学校(水戸市)では2021年5月から、主に授業の復習の宿題として演習とテストに特化した公立小中学校向けの「すららドリル」を活用している。

<span class="fontBold">「すらら」の演習で誤答をすると、どの部分が理解できていないのかをAIが特定し、学年範囲を越えて復習できる</span>
「すらら」の演習で誤答をすると、どの部分が理解できていないのかをAIが特定し、学年範囲を越えて復習できる
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 コロナ禍にあって、小中学校では生徒1人1台のタブレットやノートパソコンなどが配布されるなど、「GIGAスクール構想」のもとでICT(情報通信技術)環境の整備が急速に進んだ。文部科学省によると、7月末時点で全学年で端末利用を開始した小学校等(特別支援学校小学部などを含む)は全体の約85%、中学校等では約91%に及ぶ。

 ただ、教員のスキルは急には上がらない。GIGAスクール構想の目的である教育の個別最適化や、創造性を育む教育をすぐ実現することは難しい。長時間勤務が常態化している教員の新たな負担となりかねない。

 しかし、デジタル教材やサービスの中には、教員の負担を減らしつつも、教育の質を上げるものもある。

自動で生徒の苦手を特定

 「すらら」の強みは、生徒の苦手分野を自動で分析し、動画でその苦手分野を復習できる点だ。小学1年生から高校3年生までカバーしており、小学校単元に苦手を持つ中学生がさかのぼって復習できる。

 例えば、速さと距離の関係を用いた一次方程式の問題に誤答してしまった生徒がいたとする。「すらら」は誤答した問題と同じ設問で、もう少しヒントを多く与えた追加問題を出し、苦手なのが「速さと距離の関係」なのか、「一次方程式の立式」なのかなどを判別し、苦手な分野に特化した解説動画が始まる。中学理科の問題の誤答の原因を算数の単元の未定着だと判断すれば、その単元の復習を提案する。

 すららネットの林俊信マーケティンググループ執行役員によると、「すらら」を採用している学校では、宿題の課題にするほか、授業の冒頭で教員が解説し、その後は「すらら」で演習に移るところなどがあるという。演習が早く終わった生徒にはさらに難しい問題が出題されるため、飽きることがない。一方で、教員は単元への理解が遅れている生徒に寄り添って指導ができる。