システム開発を自ら手掛ける「内製力」の強化に取り組む企業が増えている。DX(デジタルトランスフォーメーション)を競争力の源泉と捉え、ITエンジニア集団を組織して開発に挑む。内製化組織へと変貌を遂げた先進企業から、内製の極意を探る。

組織のマインドを劇的に変える必要がある
●システム開発の外注と内製の違い
<span class="fontSizeL">組織のマインドを劇的に変える必要がある</span><br /><span class="fontSizeS">●システム開発の外注と内製の違い</span>
[画像のクリックで拡大表示]

 内製組織の「立ち上げ期」で参考になるのが、国内外で宿泊施設を運営する星野リゾートだ。

 同社がシステム開発の内製化に向け動き始めたのは2018年のことだ。同年に1人目のエンジニアとして入社したのが、藤井崇介情報システムグループエンジニアチームリーダーだった。

パートナーと準委任契約

 藤井氏が入社し、社内のエンジニアが1人の状態で、同社がまず取り組んだのが外部パートナーを使った開発体制の構築だった。すぐに自社雇用のエンジニアを増やせないため、まずは藤井リーダー1人と外部のパートナー約10人で開発チームを組んだ。

 重要なのが外部パートナーとの契約形態を、成果物に責任を持つ請負契約ではなくシステム開発業務自体を委託する準委任契約としたことだった。「外部パートナーであっても受発注の関係ではなく、あくまでも情報システムグループの開発者の一人として働いてもらう意図がある」と藤井リーダーは語る。

 開発チームは「毎週リリース」を掲げ、社内システムの改修を頻繁に繰り返した。経営陣の意識も少しずつ変え、現場スタッフもシステム化についての要望を多く挙げるようになった。「全ての作業を自社のエンジニアで賄うつもりはないが、外部パートナーの手を借りるとしても準委任契約にして、内部で開発のイニシアチブ(主導権)をとれる状態は継続したい」(藤井リーダー)と語る。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1682文字 / 全文2386文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「テックトレンド」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。