安全柵で囲われることなく、人間と並んで働く人協働ロボットが脚光を浴びている。きっかけはコロナ禍での「3密回避」。深刻さを増す人手不足の切り札としても期待を集める。従来の産業用ロボットと比べて、軽量で操作も簡単とあって、導入の裾野は広い。
モノが届かない、足りない──。物流量の急増や労働力不足に新型コロナウイルス感染拡大に伴う工場の操業停止が相次いだことも重なり、世界中でサプライチェーンの混乱が起こっている。
一つの解決策として存在感を増しているのが「人協働ロボット」だ。安全柵に囲われ物理的に隔離されていたこれまでの産業用ロボットとは違って、人間と並んで作業に従事する。
開発が現実化したのは2010年代。柵なしでも安全を確保するための国際規格が整い、国内でも厚生労働省が13年に労働安全衛生規則を改正した。これにより、出力80ワット以上のロボットを人間と同じ作業スペースで稼働させることができるようになった。
接触してもけがをするようなことがないよう、高感度の自動停止機能が人協働ロボットには不可欠だが、それを可能にする高精度なセンシング技術の開発も進んだ。制度と技術の両方が確立されたことで、普及に向けた素地が整った。
これまでの産業用ロボットでは、自社の製造ラインで作業ができるようにすり合わせる専門的な知見が必要だった。普及が進んでいるのは自動車の製造現場が中心で、メーカーが抱える技術者が対応してきた。しかし、自動化に対するニーズが幅広い産業で広がるなか、人協働ロボットには敷居の低さが求められている。
ファナックの白いロボット

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