AI(人工知能)を活用したデータ分析で“ケガや病気を防ぐ”研究が進んでいる。背景にはセンシング技術の発展、生体情報や行動習慣を分析してリアルタイムに処理する技術の発展がある。ケガや病気を遠ざけることによって、健康寿命の延伸に大きく貢献する。
ケガや病気の予防として注目されているのが、歩行姿勢のセンシングだ。近年、人の認知機能と歩行を関連付ける論文が複数提出されている。例えば認知症の予兆は、足の上げ幅が小さくなりつまずきやすくなるなど、歩き方の変化から見つけることができる。
歩き方の癖を可視化
しかし、普段の歩き方の変化に自分で気付くのは難しい。既存の画像認識による骨格推定技術も、カメラを設置して固定視点で自分を撮影する必要があるため、日常的な動作データを収集するには適さない。そこで、利用者だけで完結する歩行姿勢の推定技術が続々と開発されている。
例えば東京工業大学情報理工学院情報工学系教授の小池英樹氏は、胸部に取り付けた画角280度の魚眼カメラ1台で、姿勢を推定するシステム「MonoEye」を開発した。魚眼カメラが搭載する傾きなどのセンサー情報と、映像に映る頭と手足の動きを深層学習(ディープラーニング)で解析し、人の動きや視線を割り出す。
学習には、3DCGで作成した68万枚の魚眼映像と姿勢データのほか、実際に撮影した1万6000枚の魚眼映像と姿勢データを用いている。魚眼カメラがより小型になりライフログのように常時撮影できるようになれば、もっと手軽に姿勢推定が可能になる。
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