人手不足や労働環境改善など、飲食業界が長年抱える課題の解決策として期待される配膳ロボット。コロナ禍により非接触の観点から注目されたが、営業制限などの影響で導入を断念した店舗は少なくない。外食需要に回復の道筋が見え始めたことで生産性向上の機運も高まっており、本格普及への期待がかかる。

 料理をテーブルに運び、帰りに空いている皿を回収する。テーブルの間をスムーズな動きですり抜けながら黙々と作業をこなしていく。

 「名前はオヤマダくんです」。レインズインターナショナル(神奈川・横浜)が運営する焼肉店「牛角食べ放題専門店多摩境店」の荻野賢士店長はこう紹介してくれた。この店で2021年2月から2台導入した、ソフトバンクロボティクス(東京・港)が販売する配膳ロボット「Servi(サービィ)だ。

<span class="fontBold">2台のサービィがお互い避けながら各テーブルを回る</span>
2台のサービィがお互い避けながら各テーブルを回る

 配膳時は、従業員が料理を載せ卓番を指定すると、テーブルに着いたサービィは「料理をお取りください」と話しかける。料理を取り終わった来店客が「もどる」と書かれたセンサーに触れると「ありがとうございました」と言いながらテーブルを離れる。配膳時に空いた皿やグラスをサービィの上に置くことができるため、従業員が回収する手間も省ける。

 客が帰った後は、従業員がテーブルセットを一式載せたサービィと一緒にテーブルへ向かう。下げ膳をサービィが運ぶ間に従業員がテーブルをセットすれば、キッチンと往復する時間と労力を節約できる。

シフトを1人削減できる

<span class="fontBold">上段は下げ膳、下段は配膳に向いた高さで従業員と連携しやすくしている</span>
上段は下げ膳、下段は配膳に向いた高さで従業員と連携しやすくしている

 サービィは充電1回につき連続で最大12時間稼働できる。多摩境店では、サービィ導入により土曜日と日曜日のピーク時間帯のシフトを1人削れるようになったという。一緒に働く「同僚」に、「いつのまにかスタッフが名前をつけていた。オヤマダくんA・Bと親しみを込めて呼んでいる」と荻野氏は言う。

 ソフトバンクロボティクスでは、21年2月のサービィの販売開始から、外食チェーンを中心に150以上のブランドに納入している。3次元(3D)カメラのほか、レーザー光で物体との距離を測る「LiDAR(ライダー)」などの高性能センサーを装備。導入時に作成した店内の地図をもとに自分の位置を把握するため、障害物を避けながら自動で走行できる。

 インターネット接続も可能で、起動回数や稼働時間などのデータを遠隔で管理できる。ソフトバンクロボティクスの坂田大・常務執行役員兼CPO(最高製品責任者)は「集めたデータを分析し、レイアウト変更やサービィの活用方法などを店舗に提案している」と言う。

続きを読む 2/3 表情約20種類の「顔」を持つ

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