社内の部署や企業の枠を超えて取り組む「共創DX(デジタルトランスフォーメーション)」。「巻き込み力」によって複数組織の力を結集し、スケールの大きなDXを実現する。3社の取り組みからそのポイントを明らかにする。

 ソニーグループから発足したSREホールディングスは不動産の仲介取引業務をデジタル技術によって効率化。開発したシステムやAI(人工知能)を外販し、不動産業界全体のDXを支援する。組織の枠を超え他社を巻き込む取り組みが評価され、経済産業省と東京証券取引所が毎年選定する「DX銘柄」で2021年に初選出。最もデジタル時代を先導する「DXグランプリ」の一社となった。

 同社はもともとデジタル化が遅れる不動産仲介事業で、ITを活用して自社の業務効率を高めシェアを奪う戦略だった。

 しかし、16~17年ごろに、「同業の不動産会社の経営者から当社のシステムを外販してほしいとの声を多くもらうようになった」(西山和良社長兼CEO=最高経営責任者)ことから18年度から本格的にシステムの外販を開始。不動産仲介市場の限られたパイを競合と奪い合うのではなく、自社開発のシステムを外部に提供することで不動産業界のデジタル化を進め、市場全体を活性化させる方向にかじを切った。

自社開発システムの外販で 市場の活性化に力を注ぐ
●SREホールディングスのビジネスの変貌
<span class="fontSizeL">自社開発システムの外販で 市場の活性化に力を注ぐ</span><br />●SREホールディングスのビジネスの変貌
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AIによる不動産査定を外販

 例えば、開発した「AI不動産査定ツール」では、過去の膨大なトランザクションデータを基にAIが瞬時に自動査定する。不動産営業の物件の価格査定に費やす時間を9割減らしたのに加え、査定の精度を向上させる効果があるという。

 西山氏は「多くの不動産会社に価格査定のAIを利用してもらうことで、当社にデータが集まる。そのデータを基に当社はさらにAIの精度を高めて利用企業に還元する。この好循環を徹底して回している」と説明する。

<span class="fontBold">SREホールディングスのエンジニアと営業の打ち合わせ。現場の声を聞いてシステム改善を繰り返す</span>(写真=村田 和聡)
SREホールディングスのエンジニアと営業の打ち合わせ。現場の声を聞いてシステム改善を繰り返す(写真=村田 和聡)

 今後はこれまでに培ったデジタル技術やその活用ノウハウを生かしながら、不動産業界に限らずコンサルティングやクラウドサービスを提供する方針だ。

続きを読む 2/3 非接触サービスづくりに活用

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