国宝いたわり複製

 複製品の品質やデジタル化の手法も年々向上を続けている。「所蔵場所からの持ち出しが許されない」「大型の作品でスキャナーが使用できない」など、環境の制約がある大型作品で活躍するのはカメラだ。キヤノンは07年からデジタル一眼レフカメラなどの自社技術を活用し、「綴プロジェクト」と呼ぶ複製品の製作に取り組んでいる。

<span class="fontBold">キヤノン「綴プロジェクト」では撮影に市販のデジタル一眼レフカメラを使う</span>
キヤノン「綴プロジェクト」では撮影に市販のデジタル一眼レフカメラを使う

 キヤノンが手掛けてきた作品は、屏風絵や襖絵(ふすまえ)など、国宝や重要文化財に指定された大きな作品が多い。そのため、万が一にも作品を毀損することがないよう、離れた距離から撮影するほか、作品への負荷を減らすために短時間で撮影を済ませるなど、制約も大きい。

 課題となったのは「色」だ。撮影した画像を単純に出力しただけではオリジナルの色を再現することができず、何度も原本と照らし合わせて調整する必要がある。

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