AI(人工知能)を用いて運行ルートをリアルタイムで可変させる新しい乗り合い交通。路線バスの維持が困難な地方だけでなく、都市部でも活用が広がりつつある。来る自動運転社会では、移動だけではなく医療や行政サービスにも可能性が広がる。
7月1日から、東京・渋谷の街中を6人乗りの黒塗りワゴン車が走り始めた。側面には「mobi(モビ)」というロゴが貼られ、スマートフォンを片手にした利用者が乗り降りしている。モビは路線バスでもタクシーでもない、新たな「AI(人工知能)オンデマンド交通」だ。

サービスを開発したのは高速バス大手のWILLER(ウィラー、大阪市)。スマホアプリで呼び出すと平均10分で車がやってくる。乗降地は約200m間隔で設置されており、一般的に300~500mとされるバス停よりも格段に多い。現在地などの出発地と目的地を入力すれば、最寄りの乗降スポットを自動的に見つけ出す。運行経路やダイヤは決まっておらず、AIが最適なルートを算出する。
利用者の呼び出しに応じて運行するオンデマンド交通自体は昔から存在している。オンデマンドバスや乗合タクシーなどで、定時・定路線で走るバスの維持が利用客の減少で難しい地方部で普及している。利用客がいなくても空気を運ぶ非効率な運行をなくし、必要な時だけ走らせれば済むからだ。
運行経路はどう決まる?
ただ、どこからどこへ移動したいかというニーズはまちまちで、複数の利用客を1台の車で運ぶ最適なルートを手作業で割り出すのは難しい。そのため、前日までの予約が必要だったり、ルートは固定で予約がある時だけ運行したりするものが多かった。
これに対してAIオンデマンド交通は、車の位置を常に把握し、利用客もスマホアプリを使って配車を依頼することで、リアルタイムで運行ルートを変更できるのが特徴だ。
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