航空各社が新型コロナウイルスの検査結果やワクチンの接種歴を証明するアプリの実証実験を始めた。ただ、現状は様々なアプリが乱立しており、出入国審査では紙の陰性証明書などを必須としている国も多い。「コロナパスポート」は国際的な人の往来を復活させ、コロナ禍に苦しむ航空業界を救うことになるだろうか。

同じような機能を持ったアプリが多数登場
●主な陰性証明書アプリ
(写真=つのだよしお/アフロ)

 「国際線の本格再開への思いを込めて実証実験に取り組んでいく」

コモンパス
スイスの非営利組織が推進。政府や民間企業などから多くの関係者が構想に参加。航空以外での使用も視野

 4月2日、羽田空港第3ターミナル。日本航空(JAL)のカスタマー・エクスペリエンス本部CX企画推進部の中村智部長はこう力を込めた。この日、JALが米ハワイに向かう便で実証実験を実施したのは、デジタル証明書アプリ「コモンパス」。米ロックフェラー財団の支援を受けるスイスの非営利組織「コモンズ・プロジェクト」が世界経済フォーラムと連携しながら開発を進めており、全日本空輸(ANA)も3月末にこのアプリの実証実験を実施した。

 コモンパスでは、路線を選択すると医療機関が管理するデータベースにアプリがアクセスし、ユーザーの検査情報が登録されているかを確認。氏名やPCR検査を受けた日時と医療機関、さらに検査結果などが画面に表示され、空港係員は渡航要件を満たしているかどうかを確認できる。

国ごとに違う入国条件

 現在、ほぼ世界中で渡航制限が敷かれており、入国に必要な条件は国によって異なる。例えば米国では入国時に、出発3日前以降に取得した新型コロナの陰性証明書を示す必要がある。ドイツでは48時間以内に実施した検査の陰性証明書の提示が入国の条件だ。

 現状は紙の陰性証明書を提示するケースがほとんどだが、偽造証明書が多く出回る地域もある。そこでコモンパスでは、利用客に指定した検査機関でPCR検査などを受けてもらい、デジタル証明書を発行することで真正性を保証。搭乗便や検査日などの情報から入国条件を満たす証明書であるかどうかを確認するようにしている。

 一方で入国条件は感染状況に応じて日々変わっている。航空各社は利用客に対し、ホームページやメールなどで入国に必要な条件の周知に努めるが、「渡航先に到着してから条件を満たしていないことが分かり、入国できないという事例もゼロではない」(航空大手関係者)。コモンズ・プロジェクトが世界各国の入国条件を逐次把握し、アプリに反映させていくのは難しいのではないかと指摘する声もある。

続きを読む 2/3 現状では利用者のメリット乏しく

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