異常気象で野菜の供給が不安定化する中、植物工場をめぐる潜在ニーズが高まっている。国内では外食・中食市場の拡大が追い風となり、東南アジアで設置を目指す企業の動きも進んでいる。コスト削減は進み、参入する流通大手も現れた。いよいよ普及は本格化するか。
粒が大きくて甘いイチゴ、色つやがよく糖度の高いトマト。日本のブランド野菜を海外に売り込む動きが新たな展開を見せている。船や飛行機で輸出するのではなく、植物工場を現地に設置して、産地でそのまま味わってもらおうという試みだ。
三菱ケミカルが代表を務める産学官コンソーシアムは3月末、高温多湿な環境でも安定した生産ができる植物工場を開発した。人口増加と生活水準の向上が著しい東南アジアで、熱帯では栽培が難しいイチゴやトマトを地産地消できる仕組みの構築が目的だ。
実現すれば日本の農業を活性化できるのはもちろん、輸送に伴うコストや二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつながる。
石垣島でも本州並みの品質
コンソーシアムは計13の企業や研究機関、大学で構成され、2016年から開発に取り組んできた。
三菱ケミカル、パナソニック、富士フイルム、シチズン電子、タキイ種苗、堀場製作所の6社が参加。各社の技術を持ち寄り沖縄県の石垣島に建設した植物工場での実証実験では、目標とする本州や九州並みの収量と品質を達成することができたという。
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