人の感情に寄り添う「ハッピーテック」が、日常生活の様々なシーンに実装される未来が近づいている。センサーやAI(人工知能)などの技術を活用し、製品やサービスを人の感情に個別最適化する。新しい製品・サービスを生み出し、開発の在り方も変えるインパクトを持つ。

感情推定で「空間」が人に寄り添う
感情推定技術を人間が介在する様々な空間に適用することで、個々のユーザーに寄り添った製品やサービスを提供し、「人間の幸福(喜び)」というゴールに近づける

 「感情を含めた脳情報を直接やり取りする世界がきっと訪れる。その衝撃は初めて言葉が生まれた瞬間のようになるはずだ」。こう語るのは、脳関連技術の新規事業創出を手掛けるNTTデータ経営研究所ニューロイノベーションユニットアソシエイトパートナーの茨木拓也氏だ。同氏は感情推定技術などが高度に発展した社会について、「これまで情報の質は主に人間の言葉に依存してきた。脳情報のやり取りが新たな社会インフラになれば、『言葉で表現できない』情報の伝達を後押しできるようになる。情報が増えた分だけ、共有できること、提供できることの幅が広がり、様々な産業の成長をけん引するだろう」と未来を見据える。

膨らむ感情推定市場

 製品やサービスの利用者に幸福感や満足感をもたらす「ハッピーテック」。その中核技術が「感情推定」である。カメラやセンサーで人間の表情や生体データ、行動などを捉え、そのデータを分析して喜び、怒り、悲しみ、戸惑いなどの感情を類推する。感情推定技術に関する製品やサービスの市場は急速に成長しそうだ。米国の調査会社Tracticaによると、感情認識・感情分析のソフトウエア市場は2025年に38億ドル(約4000億円)の規模に達すると試算されている。20年は5億ドル(約520億円)で、今後5年間で約8倍も市場が拡大する。この試算はソフトウエア製品が中心であるため、ハードウエア製品も含めれば、市場規模はいっそう大きくなる。

感情推定技術の発展
感情推定という考え方自体は目新しいものではない。かつてはアンケート調査を実施し、その結果をアナログ集計して人手で解析してきた。現在は、カメラやセンサー技術の発展とCPUの演算能力、データ分析技術やクラウド技術の進化などによって、システムが感情を推定できるようになっている。近未来には感情推定技術が日常生活の様々な空間に溶け込み、推定結果から「その人が求めていること」をリアルタイムにフィードバックできるようになる
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