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スピーカー2つで全方位から音
カジュアル3Dオーディオの代表ともいえる技術が、ソニーの「360リアリティオーディオ」だ。自らの周囲を音が取り囲むような体験をヘッドホンやステレオスピーカーで実現でき、従来のステレオでは得られなかった音の広がりを感じられるようになる(図はソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ)

 従来の3Dオーディオ再生環境とカジュアル3Dオーディオ再生環境の大きな違いは、必要なスピーカー数だ。カジュアル3Dオーディオなら、スピーカーが2つしかないステレオ環境でも、前後左右上下の全ての方向において、どの方向から音が聞こえてくるかが分かるようになる。ヘッドホンでも同様に、まるで頭部の周りに音源があるかのように、リスナーは音源との位置関係を感じ取れる。

 カジュアル3Dオーディオを実現できるようになった背景には、音響機器の演算処理性能の向上がある。カジュアル3Dオーディオには「オブジェクトベース方式」が使われる場合が多い。この方式では、各音源に位置情報などのメタデータを付けて空間内に配置し、3次元的な広がりを感じさせるために再生環境のスピーカー数や音響特性(HRTF=頭部伝達関数)に応じて信号処理を加え、その場で生成した音を再生する。従来方式より信号処理の回数が増えるため、演算処理能力が必要になる。