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新型コロナウイルスの感染者が再び増えるなか、いわゆる「3密」を回避する技術の導入事例が増えている。店舗や職場、交通機関で人の動きを可視化し「安心・安全」が担保されれば、経済の動きも活発化しやすい。マーケティングや業務効率のアップに役立つこともあり、導入が進みそうだ。

そごう美術館は入り口と出口の天井2カ所にカメラを設置し、館内の人数を計測している。来館客と従業員を別にして数えることも可能だ

 「いらっしゃいませ、どうぞお入りください」

 横浜市西区のそごう横浜店内にある「そごう美術館」。入り口に置かれたディスプレーが緑色に光り、来館客を誘導している。館内の人数が増えると、信号機のように色が変わる。黄色は「ご入場いただけます」、赤色は「入場規制中です」といったふうだ。

 このシステムは7月中旬、館内の「3密」を避けるために導入した。入り口と出口の天井に備え付けた3次元センサーカメラが人の出入りを検知し、館内の人数を把握。約300坪の館内で、少なくとも1坪当たり1人のスペースが確保できるように人数を調整している。美術館の担当者は、「館内は、開放的な百貨店の売り場に比べると閉鎖気味。気にされるお客様もいると考えて、取り入れた」と話す。

「安心・安全」を分かりやすく

 導入したシステムはローカライズ(東京・渋谷)が開発した。2013年の創業以来、小売店向けの人流解析サービスを手掛けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが減少。そこで、緊急事態宣言が発令された4月に「3密」回避機能を新たに加えた。

 カメラに搭載したAI(人工知能)エンジンが、撮影画像を分析して、人の頭と爪先を認識することで一人ひとりを識別する。また、マスクをしているかどうかや、人の集積度を示す「ヒートマップ」の表示も可能だ。端末側でデータをさばく「エッジ処理」を行うため、映像データをクラウドに保存しない。欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)に対応するなど、プライバシーにも配慮している。

 性別や身長、顔の向き、団体客かどうか、そして長時間滞留している顧客を察知する機能も、マーケティング向けに提供している。例えば、ショーウインドーをのぞき込んだ人が入店した割合や、レジに並んでいる人数を検知して行列の回避などに活用できる。

日経ビジネス2020年8月31日号 72~74ページより目次