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近い将来に起こり得る社会状況の変化を見据え、道路の役割が変わりつつある。発電や給電のほか、ゴミを活用した耐久性の高い道路づくりも進む。高機能化する道路の最先端の取り組みを見ていこう。

道路での発電に向け、NIPPOの総合技術センターの敷地内に太陽光発電モジュールを敷設した。昼間に蓄積した電力で、夜間に周辺の照明やLED照明を用いた区画線をともした(写真=NIPPO提供)

 NIPPOはMIRAI-LABO(東京都八王子市)と共同で太陽電池を組み込んだ舗装システムを国内で初めて開発した。2022年までの実用化を目指す。「これまで人や車が安全に通行できる空間の実現を最優先にしてきた道路に、『電源』という新たな機能を追加できないかと考えた」。NIPPO技術研究所研究第一課の吉中保課長はこう説明する。

たわみに強い構造で課題克服

 開発した太陽光発電モジュールは、フィルム状の太陽電池と配線、表面を保護する透明なプラスチック板からなる。アスファルト舗装のふぞろいな面を樹脂モルタルで調整し、その上にモジュールを置くだけで設置できる。発電した電気は専用の蓄電システムに取り込み、道路付属物や災害時の電源利用を見込む。

道路に使うフィルム状の太陽電池は人の手で丸められるほど軟らかい
開発した太陽光発電モジュールの模式図

 課題となったのは耐久性だ。屋根などに設置する一般的な太陽光発電モジュールは発電効率が高い半面、たわみなどの変形に弱く、荷重が加わる舗装に導入すると、すぐに破損する恐れがあった。MIRAI-LABOが開発したフィルム状の太陽電池は、人の手で簡単に丸められるほど柔軟性が高い。これに高強度のプラスチック板を重ね、たわみに強い構造を実現した。大型車を想定した5トンの輪荷重走行試験で耐久性を確認。試験中も、発電機能に問題がないことを確かめた。

非接触給電舗装を試験
施工タイヤがあまり上を通らず、わだち掘れが生じにくいレーン中央にコイルを埋め込んだ(資料提供 東亜道路工業)

 公道への導入には規制のハードルを超える必要がある。現行の道路法では、発電装置を公道の路面に設置することを禁じている。NIPPOは当面、商業施設の駐車場や工場の敷地内といった民有地への展開を狙う方針だ。

日経ビジネス2020年1月20日号 66~68ページより目次