フリマアプリや民泊など個人間取引で「自動値付けサポート」の技術が向上している。過去の取引データをAIが学習・分析し、常に変動する商品やサービスの最適な価格を推定する。素人が需給や価格動向を調べて価格を決める煩わしさを解消。市場拡大の一翼を担っている。
年末の大掃除で出た不用品の数々。捨てるのはもったいないので、個人間売買を仲介するフリーマーケットアプリで売ろうと試みることもあるだろう。ただ以前より簡単になったとはいえ、フリマアプリへの出品などを煩わしく思う人も少なくない。写真撮影や情報の入力、発送などと同様に出品者を悩ませるのが、「値付け」だ。
自分が所有する中古品が一体いくらで売れるのか。中古品の買い取り業者など専門家でなければ相場などは分かりづらい。アプリ内で類似する商品を検索し、状態を確認して売買履歴で値段をチェック──。そんな煩わしさをなくす「自動値付けサポート機能」を拡充する動きが出てきている。
商品名など入力、即座に計算
フリマアプリ首位のメルカリでは、出品する際に5つの項目を入力するだけで売れそうな価格帯を自動的に明示する機能を備えている。算出の時間はわずか0.1秒。利用者が入力を終えた瞬間に表示される仕組みだ。その参考価格を基に、個人が値付けすれば出品が完了する。
「売ることを空気に」というスローガンを掲げるメルカリがこの機能を実装したのは2017年8月。値段の算出に必要なのは、出品に際して入力する項目のうち「商品の名前」「カテゴリー」「ブランド」「商品の状態」「出品時の日付」の5項目だ。これらを参考に、過去の膨大な売買実績から検索して類似商品を導き出し、自動的に最適な販売価格帯を算出する。
ただ、課題もあった。利用者が入力した文字をベースに判断するため、表記が異なると同じ商品でも違うものと認識してしまい、参考価格を算出できないケースがあった。
「実際に参考価格を出せていたのは全体の60%程度。それを100%に引き上げるべく、AI(人工知能)を活用した算出に切り替えた」とメルカリで開発を担当する松岡玲音ソフトウエアエンジニアは語る。
そこで今年3月に導入したのが、機械学習を通じた価格推計モデルだ。商品名などを利用者が入力する点では以前と同じ。AIは名前やカテゴリーや状態などそれぞれが持つ特徴を掛け合わせ、高次の情報を基に類推して商品を特定する。多少の表記ずれがあっても対象物を類推できるようになった。
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