ものづくりではこのところ、「低価格の自動化」が進んでいる。具体的な方法はいろいろで、各社の強みを生かす取り組みが目立つ。日本企業がアジアで展開する最新工場の事例からその取り組みを探った。
UMCエレクトロニクス中国・東莞工場のプリント回路基板実装ライン

EMS(電子機器製造サービス)を手掛けるユー・エム・シー・エレクトロニクスの中国・東莞工場(三和盛電子制品=東莞=有限公司)は、同社のマザー工場として、生産技術を開発・改良して自らに適用するとともに、日本国内を含めた他の工場に生産技術を展開する役割を担う。EV(電気自動車)用の充電器、DC/DCコンバーターをはじめとする車載機器を扱い、顧客の自動車部品メーカーと製品開発の初期段階から共同で工程を設計し、生産設備を整える。これまで多様な製品の生産を担った経験から、顧客の要望に合わせて多様な工程と設備を提案できるのが強みだ。
必要な機能に絞り自社製造
強みを追求する中で、同社は自動装置やAGV(無人搬送車)、治工具、からくりを応用してワークを扱う装置、部品トレーなどを自ら設計・製造する取り組みを推進。ムダをなくした低コストのラインを構築し、進化させてきた。同社はこれをLCA(ローコスト・オートメーション)と呼んでいる。
同社製造本部生産技術センター室長で中国区域副董事長の王洪忠(ワン・ホンツォン)氏は「市販品の生産設備のみでラインを構成するのでは、過剰な機能が付いてしまう。それでいて、使いやすくしたりエラー時に対応したりするための『お守り機能』を加える。これでは償却負担が重くなって、顧客の要望を十分に満たせないと考えた」という。必要な機能のみに絞って操作を容易にしたLCA設備を自ら造る。
自社開発のLCA設備には、ワークごとに臨機応変にラインを構成したり、不具合が生じた際にすぐに装置や部品を交換したりできるメリットもある。このメリットをさらに引き出すため、東莞工場は装置のモジュール化を図っている。具体的には装置をプラットフォーム部とアタッチメント部の2つの部分で構成する方式にしている。
プラットフォーム部は、ワークの搬送など工程によらず共通に必要な機能を持たせる部分だ。ワークを扱う台の高さをそろえて装置同士を連結し、ワークを直接受け渡しできるようにする。装置の幅は共通化し、プラットフォームごと交換したり、メンテナンスしたりするのを容易にした。ラインを一部変更する場合などは幅の同じプラットフォームを用意しておき入れ替える。ラインから外したプラットフォームは整備した上、他のラインへ投入できる。
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