スマートフォンカメラを使い「ささげ(撮影・採寸・原稿作成)」を効率化する動きが広がっている。大量のデータを学習した人工知能(AI)の登場で、高額な3Dスキャナーがなくてもスマホ画像で高い精度を実現。インターネット通販(EC)の返品率を減らすだけでなく、店舗の接客レベルを向上させるなどの効果が期待できる。

<span class="fontBold">三越伊勢丹の「Hi TAILOR」は、百貨店品質のオーダーシャツを自宅から注文できるようにすることで、20~30代のビジネスパーソンの需要掘り起こしを狙う。来春にはシャツだけでなくスーツの販売も始める予定だ</span>
三越伊勢丹の「Hi TAILOR」は、百貨店品質のオーダーシャツを自宅から注文できるようにすることで、20~30代のビジネスパーソンの需要掘り起こしを狙う。来春にはシャツだけでなくスーツの販売も始める予定だ

 三越伊勢丹が10月末に始めた、紳士服の採寸から注文までをネットで完結させるサービス「Hi TAILOR(ハイ・テーラー)」。利用者は身長と体重を入力し、スマホカメラで撮影した正面と側面の2枚の写真を登録するだけ。あとはAIが胸囲や裾回り、ゆき丈などのサイズを自動ではじき出す。

 売れ筋を基にした90種類の生地から好みの1着を選べるほか、「定番」や「オフィスカジュアル」、「冠婚葬祭」といった選択肢も設けた。

中国企業の採寸技術を導入

 オーダーシャツの主な価格帯は8900円(税抜き)ながら、「品質は1万5000円相当」(デジタル事業部の横山達也氏)。ネットで完結するため、店舗や販売員にかかる費用を商品に還元しているという。

 ネットの手軽さと百貨店の品質を融合して20~30代の顧客を開拓する狙いがある。「ぴったりのオーダー品を着た感動を味わえば、次も欲しくなる」(横山氏)ものの、百貨店のオーダー品は手を出しづらい。ECで最初の1歩のハードルを下げて裾野を広げる。

 採寸技術は伊藤忠商事が出資するTOZIテクノロジーカンパニー(中国・深圳)のものを採用した。三越伊勢丹が蓄積した約20万件以上の採寸データやスタイリストの意見を取り入れることで、仕上がりと体のサイズの誤差が5%から1%に縮まったという。

 2019年に入り、スマホ画像とAIを組み合わせた採寸技術を取り入れる動きが相次いでいる。ファーストリテイリングが展開するユニクロも9月、自動採寸サービス「マイサイズカメラ」を本格スタートした。

 スマホカメラの採寸に加え、利用者は腹回りやヒップの形を「丸め」や「平ら」などと入力。さらに「ぴったり」や「ゆったり」など自分好みの着用感を選ぶと、最適なサイズが推奨される。「思っていたのと違う」というECの不満を未然に防ぐサービスも展開している。

 採寸技術を提供する米ボディグラムのジン・コーCEO(最高経営責任者)は、服を買いに行く手間を惜しむシリコンバレーのエンジニア向けにシャツブランドを立ち上げたところ、「ECで注文しようにも、自分の体を正確に計測できる人はほとんどいない」ことに気づき、開発に乗り出した。

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