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 かつては電池を十分に搭載すると本体が著しく重くなっていた。一方、電池を減らすと利用可能時間が短くなる課題があったため、製品化しても実用性が低かった。それが電池の進歩によって大きく状況が変わっている。

 アシストスーツのフレームに使用する素材も大きく進歩している。従来はステンレス製のフレームが多く、重さに課題があった。一方、軽量化のために素材を変えたり使用量を減らしたりすると、強度の維持とトレードオフになっていた。

 それがアルミニウムやマグネシウム合金などの採用例が増えたほか、炭素繊維強化樹脂などの素材を使うことで、フレームの軽さと強度が高い水準で両立できるようになり、実用性の高い製品が急速に増えてきた。

大きく2つに分類

 現在発売されているアシストスーツには、主に2種類のタイプがある。動力を使う「アクティブタイプ」と、動力を使わない「パッシブタイプ」だ。

 アクティブタイプは、電池とモーターなどによって駆動し、着用者の筋力の負担を軽減する。利点は、電池を搭載しているため、パッシブタイプに比べて機能を追加しやすく発展性が高いことだ。

 例えば、センサーを搭載して着用者の生体情報や作業中の動きのデータを取得し、健康状態を把握したりAI(人工知能)を使って動き方を解析、または改善したりできる。ただし、アクティブタイプの価格は1台70万~数百万円と、現状では高価となっている。

 一方のパッシブタイプは、伸縮素材を用いた人工筋肉やガススプリング、ラチェット的な歯車などのメカニカル機構を用いた変形動作によって、中腰姿勢の維持や長時間の立ち作業など着用者にとってつらい動きを軽減する。

 パッシブタイプの利点は、医療機器以外の電気製品を使用できない手術室や電池・電子機器の性能が低下する極寒環境など、アクティブタイプが使用できない場所で使えることだ。電池を用いないため、連続稼働時間の制限もない。価格は1台60万円前後かそれ以下で、アクティブタイプと比べて安い。このため市場拡大の呼び水としての役割も果たしている。

10年で30倍に成長する
●アシストスーツの市場規模
注:米ABIリサーチのデータを基に「日経エレクトロニクス」が作成

 「アシストスーツはもう1~2年後に普及期を迎えるだろう」とアトウンの藤本氏は話す。現在は技術が向上して製品の成熟度が高まり、多くの企業がメリットを認知し始めた段階にある。今後さらに導入企業が増えれば、より安定した大きな市場へと発展していく見込みだ。

 調査会社の米ABIリサーチによると、アシストスーツの世界市場は、18年時点で約215億円だが28年には約6500億円になる見通しだ。台数ベースでは、18年に約7000台だったが、23年には30万台を超える見込みとなっている。

日経ビジネス2019年7月29日号 82~84ページより目次