サーバーレス、コンテナ、そしてマイクロサービス。3つの新技術がクラウドの導入効果を高める切り札と目される。機能を変更しやすく、より軽く動作させることができるなどの強みがある。

活用が進むサーバーレス
●日本野球機構(NPB)が運営する 「NPB CIC」の概要
<span class="fontBold">活用が進むサーバーレス</span><br><small>●日本野球機構(NPB)が運営する 「NPB CIC」の概要</small>
NPB CIC:プロ野球の各球団が所有する写真資産を一元的に管理して貸し出すサービス(写真=富士フイルムソフトウエア提供)
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 システムの構築や刷新にクラウドを活用するのは、日本企業にとって今や当たり前になっている。「新サービスをすぐ始めたいからシステムを早急に用意したい」「システム構築や運用の手間とコストがかかりすぎる」「アクセス数の急増などに即応しにくい」といった課題を解決できるからだ。

 だが、単にクラウドに乗り換えれば俊敏さや拡張のしやすさなどのメリットを十分に得られるかといえば、そうとは限らない。運用の煩わしさが減りシステムの拡張性も高まるが、開発や管理の手間は残る。

 クラウドの利点をもっと引き出し、導入効果を高めたい──。こうしたニーズに応える3つの技術「サーバーレス」「コンテナ」「マイクロサービス」が注目を浴びている。3つの技術はいずれもクラウドに載せたシステムをより使いやすく機敏にする。ネット企業は当たり前のように利用しているが、ここにきてサーバーレスとコンテナ、マイクロサービスに注目する一般企業が相次いでいる。

 大きな要因はデジタル改革(DX)への対応が喫緊の課題として浮上していることだ。いずれも登場から5年以上たっており、選択肢も拡大。例えば米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米グーグル、米IBM、米マイクロソフト、米オラクルといった主要ベンダーが対応サービスを提供している。

プロ野球もサーバーレス導入

 このうち、サーバーレスはベンダーが提供するクラウドサービスを使ってサーバー用ソフトウエアの管理を自動化する手法だ。サーバーに関わる面倒な作業はすべて任せたい──。エンジニアのそんな希望をかなえる。

 2019年3月29日。プロ野球の開幕と同時にサーバーレスを使った新システムの本格稼働が始まった。プロ野球選手の写真を貸し出す日本野球機構(NPB)のサービス「NPB CIC」を支援するシステムだ。新システムにより、球団担当者が選手の写真を選んで情報を追加する作業を自動化。1試合当たり4時間かかっていた作業を8分の1の30分に短縮できたという。

 システム開発者は通常、アプリケーションのロジックだけでなく、サーバーに関わる課題を踏まえて開発を進める必要がある。「仮想マシンをどこにどれだけ置くか」「データベースなどのミドルウエアとして何を用意するか」「負荷の高まりにどう対応するか」などだ。こうしたサーバー周りの課題を考えなくても済むようにして、ロジックの開発に専念させる。これがサーバーレスの狙いだ。

 これまでNPB CICに写真を登録する際は各球団の担当者が選手の写真を1枚ずつ見て、選手名などの情報を追加していた。1試合当たり写真200~300枚分の情報を手入力しており、作業負荷の高さが問題になっていた。

 新システムは負荷軽減を狙い、作業の多くを自動化。ここにサーバーレスの仕組みを活用している。カメラマンが撮影した写真をサービス基盤にアップロードすると、システムは選手名を判別するための機能を起動して自動で認識。複数の機能による処理の実行順序やエラー時の再試行を設定できる特徴を生かし、「事前処理」「顔認識」「公式記録との照合」「最終的な推定処理」などを同時に行うことができるようになった。

イベント発生を機にコードを実行
●写真に写る選手名を自動でタグ付けする処理の流れ
<span class="fontBold">イベント発生を機にコードを実行</span><br><small>●写真に写る選手名を自動でタグ付けする処理の流れ</small>
* 富士フイルムイメージングシステムズが提供
出所:富士フイルムソフトウエアの資料を基に日経コンピュータ作成
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