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ストレスや喜怒哀楽などの度合いを測定し、数値などで可視化する技術が実用化しつつある。心拍数や表情、声など幅広い生体データを解析し、潜在的な感情をあぶり出す。社員のストレス対策から事故防止、マーケティングまで、さまざまな需要が広がりそうだ。

 就職や転勤など、環境変化があった後の大型連休を機に心身が不調になる「五月病」。今年は10日間の長期休暇となるため例年以上にリスクが高くなりそうだ。部下が会社に来なくなるなど、心配しているビジネスパーソンも多いだろう。

独自の銀繊維で心電データを測定 変動データから感情を分析
●ミツフジのストレス解析技術の流れ
1.銀をコーティングした糸を電極に心電データを測定
心臓の下部分に銀をコーティングした糸を電極として配置
2.スマートフォンに無線で伝送、 心拍やストレスを数値化
3.クラウドで解析、 分析レポートを提供
クラウドで感情データを分析し、職場環境でのストレス反応や想定されるリスクなどを分析レポートとして提出する

 ストレスを可視化することで、職場での心の管理を手助けしてくれるサービスがある。繊維メーカーのミツフジ(京都府精華町)が開発した「hamon(ハモン)for stress」だ。

 同社が開発した特殊な肌着は、着るだけでその人物のストレスを100段階で数値化する。1週間かけて測定したデータをクラウド上で解析し、職場環境の「緊張・重圧のレベル」や「業務上の強制レベル」などを評価したレポートとして提供。企業は最終的なレポートを基に、対象となる従業員のストレス低減策を実施する。

 ストレスを可視化できる秘密は、肌着の裏地部分にある独自開発の繊維にある。この繊維は、ナイロンなどの糸の表面に銀をコーティングしており、伸縮性と導電性を併せ持つ。着用時に心臓の下側部分に密着することで、健康診断で測定する心電図検査の電極の役割を担う。肌着に取り付けた重さ25gほどの端末を使い心臓の電気的な変化を測定し、心電データを得る仕組みだ。耐久性は高く、100回の洗濯後も導電性は失われない。

 得られた心電データは、端末から近距離無線技術「ブルートゥース」などでスマートフォンに伝送。専用アプリで心電図として表示される波形を解析することで、ストレスの度合いを数値化する。

 心電データは交感神経や副交感神経といった自律神経の状況で変化することが知られている。ミツフジの三寺歩社長は、やや「単純化すると」と前置きしたうえで、「心電データの波形間隔が短ければ交感神経が働いており緊張、興奮している状態。逆に波形間隔が長くなれば副交感神経が働いておりリラックス状態、眠気を感じていると判断している」と説明する。

日経ビジネス2019年5月13日号 68~70ページより目次