電力を非接触でEV(電気自動車)に給電する研究が進んでいる。その先には、走りながら必要な電力を得る「走行中給電」を見据える。架線から電力を給電する方式などの研究も進行中だ。

 EV(電気自動車)は充電技術の選択次第で将来性が大きく異なってくる。既定路線の「ケーブル充電」方式の場合、今後さまざまな矛盾が噴き出し、完全自動運転が本格化する2030年ころに行き場を失うという見方が強い。

ケーブル充電によるEVは近い将来、 行き場を失う可能性がある
ケーブル充電によるEVは近い将来、 行き場を失う可能性がある
ケーブル充電はガソリン車の給油イメージを継承した充電方式。ケーブル充電に基づくEVでは、電池の大容量化が避けられない。その結果、近い将来、多くの課題が噴出し、EV普及の大きな阻害要因になる可能性が高い。
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 ケーブル充電の課題は、直近のものと将来的に深刻になりそうなものに大別できる。

急速充電の規格が乱立

 直近の課題では、①急速充電の規格が独自仕様も含めて乱立していること②EVの電池容量が増えつつあり、家庭のAC(交流)電源を用いた出力3kWでの充電では一晩で満充電にならず、50kWの急速充電でも30分では足りなくなってきたこと、③“超急速充電”の規格の場合も、電池や充電ケーブルの仕様の限界から当面は充電時間の短縮にはつながらないこと──の大きく3つである。

 将来的に見た場合には、電池の容量がさらに増えたり、EVの台数が増えたりするにつれて、ケーブル充電方式のEVの課題が雪だるま式に増えてくる可能性が高い。例えば車両の重さについて、電池が100kWhともなれば、現行の電池技術では少なくとも400kgにはなり、電池だけで大人6人分の重さになる。電池容量が大きなEVの台数が増えれば、現在でもすでに起こっているEVの充電渋滞はより深刻になる。充電システムは高出力なものほど高コストで簡単に数を増やせないからであり、充電システムがEVの利便性を高める上での大きなボトルネックになる。

 最も深刻なのは、自動運転との関係だ。ケーブル充電式ではいくら運転や駐車を自動化しても、充電だけは手作業が必要。このため、ケーブル充電式のシステムが多数導入された後に自動運転車が普及すると、元の充電インフラは無用の長物になる可能性が高い。

ワイヤレス給電に期待感

 これに対し、電力を非接触でEVに給電する「WPT(ワイヤレス給電)」による車載電池への充電は、容量の増大と充電レートの高出力化という悪循環からEVを脱却させる可能性が高い。EV向けのWPTでは、路面に埋め込んだ送電コイルから、車両の底に設置した受電コイルに電磁誘導の応用技術で電力を給電。次にその電力を車載電池などに充電する。

 ケーブル充電とWPTの大きな違いは、①運転手が車外に出て作業する必要がなく、必要な位置への運転操作だけで済む、②送電側のシステムを駐車場や道路の路面に埋め込めるため充電可能な場所が大幅に広がる、③自動運転との親和性が高い──の3つだ。