大企業に比べて中小企業の賃上げペースが遅い。原材料費などが高騰しているのに、それを販売価格に思うように転嫁できていないためだ。改めて下請け構造に目を光らせる必要がある。

 「電気代など1~3月のエネルギーコストは前の四半期と比べ1.5倍。原材料費もここ1年で上がり続けている。コスト上昇分をすべて価格転嫁できないなか、次は賃上げを迫られている」。静岡県内の金属加工会社の社長は頭を抱える。

 日本では大企業だけでなく、中小企業でも賃上げの機運が高まっている。東京商工リサーチ(TSR)が2月にまとめた調査によると、2023年度に賃上げを実施すると回答した企業は80.6%。ただ、資本金1億円以上の「大企業」が85.5%だったのに対し、同1億円未満の「中小企業」は80.0%と5.5ポイント低い。

 背景にあるのが大企業と中小企業の収益力の差だ。22年10~12月の法人企業統計で規模別の経常利益を見ると、資本金10億円以上の企業は前年同期比6%増と8四半期連続で増加。他方、資本金1000万~1億円の企業は同18%減だった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1086文字 / 全文1554文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「ニュースを突く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。