1月の降雪で列車の立ち往生を起こしたJR西日本。2月に公表された報告書では、現場の判断を生かせていなかったことが明らかになった。これは組織体制の問題といえる。

 JR西日本は2月17日、長谷川一明社長など役員3人の報酬返上と、近畿エリアの輸送を管理する近畿総合指令所長の更迭を発表した。1月24日から25日にかけて、京都駅周辺で降雪による列車の立ち往生が発生。約7000人が最大で10時間近く閉じ込められる事態を招いたことが、経営陣の責任問題にまで発展した。

 処分に合わせて近畿運輸局に提出された報告書からは、多くの企業に共通する問題が浮かび上がってくる。

 まずはマニュアルに対する過信だ。JR西が想定した積雪は8cm。ポイント(分岐器)の凍結を防ぐ融雪装置の使用基準は積雪10cm以上の予想となっており、稼働させなかったことが列車の立ち往生につながった。予測不能だったかと言えば、必ずしもそうではない。「10年に1度の低温」という予報が出ていたからだ。

 ちなみに2020年度に近畿エリアで基準を統一する前に、京都駅では積雪6cmの予想で融雪装置を使用していたという。過去にはそのような厳しい独自基準があったにもかかわらず、今回は定められた基準を上回る対応の検討には至らなかった。

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