物価高で生活が苦しくなるなか、残価設定ローンや、スマホ融資など、消費を下支えするサービスが増えている。平成の消費者金融のように「令和の錬金術」になるのだろうか。

 先日、自宅のポストに入った1枚のチラシに目が留まった。過払い金専門の司法書士事務所のもので「払い過ぎたお金が返ってくる」とのキャッチコピーの横に、笑顔で両手を広げた女性の写真が載っている。よく見ると消費者金融のCMで人気を博したタレントの小野真弓氏だった。

 1990年代にお茶の間でおなじみとなった消費者金融のテレビCMは、高金利や過剰取り立てといった悪いイメージを大きく変えた。バブル崩壊後の不況期、家計の資金繰りや中小企業の事業継続を裏で支えてきたといえる。2000年代に入り、約20兆円まで膨らんだ貸付残高はその証左だろう。

 だがその後、借入残高の総量規制やグレーゾーン金利の撤廃を定めた改正貸金業法が2006年に成立し、施行されると残高は約6兆円まで落ち込んだ。その後の新型コロナウイルス禍でも、7兆円程度で推移している。政府による様々な資金繰り支援の効果が薄れていったとき、この数字がどう動くかが注目される。

 みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では、23年度の家計負担は2年前に比べて約13万円アップするという。世間では賃上げの話題が増え始めているが、この負担増をカバーする賃上げを実現できる企業はどれだけあるだろうか。ここまでモノやサービスの値段が高くなると、節約などの我慢にも限界がある。

 もっとも、平成の不況を乗り切るための消費者金融が「平成の錬金術」であるならば、令和も負けてはいない。筆者が最近注目しているのが、家電や携帯、クルマなどの購入で普及し始めている「残価設定ローン」だ。

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