親の老いや介護と向き合う団塊ジュニア世代が2040年には自らも高齢者となる。しかし、介護人材不足は悪化する一方だ。不遇の世代が「介護難民化」という試練に立ち向かう。

 東京商工リサーチによれば、2022年、老人福祉や介護事業を手掛ける介護事業者の倒産は前年比77%増の143件となり、過去最多だった。ホームヘルパーなど介護人材不足、新型コロナウイルス禍による訪問介護サービスの利用控え、光熱費や食材など物価高騰によるコスト増など、経営悪化の要因が重なった。

 少子高齢化を受けて、介護危機はより深刻になる。23年は団塊の世代の約7割が75歳以上の後期高齢者になる見込み。25年にはこの世代全体が75歳以上となり、人口の2割が後期高齢者になる。一方で、介護職は賃金が低いため有効求人倍率は他産業を大きく上回り、必要な人数の手当てが難しい。厚生労働省の調査では、25年に介護人材は約243万人必要になるが、現状のままではおよそ30万人分が足りなくなるという。

 こうした親の老いや介護と向き合っているのが団塊ジュニア世代だ。親の介護と仕事との両立に悩むケースも多い。日本総研の試算では、親を支えることで生活が困窮するリスクが高い団塊ジュニア世代が約33万人いる。ところが40年ごろには自らも高齢者の仲間入りしてしまう。

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