高野之夫・豊島区長が西武池袋本店の低層階へのヨドバシカメラ出店に反対する記者会見を開き、波紋を広げている。家電量販は街づくりに悪影響を与えるのか。
「(ヨドバシカメラの出店で)今まで築き上げてきた『文化』の土壌が喪失する」。2022年12月に開かれた高野之夫・豊島区長の記者会見で耳を疑った。その1カ月前、東急ハンズ池袋店跡地に出店したニトリの開業式典で、同氏が「ニトリ旗艦店の出店は長年の悲願。今度はニトリの東京本部も池袋に移してもらいたい」と話す様子を取材していたからだ。
ニトリもヨドバシも低価格を売りにする量販店。扱う商材も一部重複する。にもかかわらず、どうしてここまで高野区長の姿勢が違うのか。
理由は2つあるようだ。一つは、池袋にはビックカメラ、ヤマダデンキの旗艦店が既にあり、東武百貨店内にはノジマも出店しているということ。会見に同席した地元商店会の会長は「これ以上、家電量販はいらない。ヨドバシが出店するとは何とも許しがたい」と語気を強めた。競争激化は池袋にとってマイナスだという。
もう一つは、ヨドバシの出店が想定される西武池袋本店は池袋駅に直結しており、街の顔ともいえる存在ということだ。1999年の初当選以来、「国際アート・カルチャー都市」を目指してきた高野区長は、現在1階に店を構える仏ルイ・ヴィトン、仏エルメスなどの海外ラグジュアリーブランドを守りたい意識が強い。その方が「文化的」だという認識らしい。
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