安全保障の観点から医薬品やワクチンの国産化を進めるべきだという意見を聞く。研究・製造などの人的リソースが限られる中、何にでも国産を目指すのは無理がないだろうか。
2022年11月に厚生労働省から緊急承認制度に基づく承認を取得した塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」。承認直後にはその有効性などに様々な意見が噴出したが、既存の新型コロナ向け飲み薬が使えない患者に使えるという特長がある。いずれにしても、日本で創製されたこの医薬品が実用化されたことは素直に歓迎したい。
ただ、承認可否を審議する会議の中で、厚労省が緊急承認の要件として、「安定供給の観点から国産であることが考慮される」と説明したのは少し引っかかった。安全保障の観点は大切だが、これまでに医薬品の承認審査で「国産か否か」が議論されたことはあったのだろうか。審査にどれだけ影響を与えたかは分からないが、必要以上に国産を重視する意見には疑問を感じざるを得ない。
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